(株)秀建 編集部
廃業ホテルを購入してリノベーションするメリット|考え方やチェックポイントも解説
コロナ過が明けて観光需要が大きく回復している現在、宿泊業界には大きなチャンスがあります。
しかし、国内外の競合の参入も増えており、好条件の立地は抑えられていることも少なくありません。
そこで検討したいのが、廃業ホテルを購入し、リノベーションして魅力的な施設にリニューアルする方法です。
廃業したホテルをリノベーションすることで、短期間でコストを抑えて開業し、素早く観光需要に対応できる可能性があります。
この記事では廃業ホテルをリノベーションするメリットや、購入時にチェックすべきポイントをまとめます。
廃業ホテルのリノベーションアイデアもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
コラムのポイント
- コロナ過で廃業したホテルは多く、開業の選択肢として検討する余地があります。
- 廃業ホテルを購入する際は、廃業した理由や建物の状態、リノベーションプランや費用についてチェックすることが大切です。
- ホテルリノベーションの実績が豊富な施工会社に相談し、ユーザーにとって魅力的な施設づくりをするのも成功のポイントです。
廃業ホテル購入にチャンスあり?
コロナ過で国内外の観光需要が大きく落ち込んだことを受けて、廃業を余儀なくされたホテルは少なくありません。
厚生労働省の衛生行政報告例によると、旅館・ホテル営業の施設数は2019年の51,004軒から、2022年に50,321軒と683軒減少しています。
しかし、2023年以降は国内外の観光需要が大きく回復し、日本人・外国人ともに延べ宿泊者数はコロナ過前の水準まで伸びています。
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特に、東京・大阪などの大都市圏では、外国人観光客を中心に需要が大きく増加し、ホテルの数が足りないエリアも増えているようです。
このような状況を踏まえると、コロナ過で廃業したホテルを購入するメリットは大きいと言えそうです。
廃業ホテルを購入してリノベーションするメリット
廃業した既存ホテルを購入してリノベーションすることで、新築と比べて次のようなメリットが生まれます。
開業までの期間を短縮できる
既存の構造を活かせるリノベーションは、ホテルを1から新築するより工期を短縮でき、短期間で開業できるのが大きなメリットです。
前述したように観光業界全体が盛り上がっている現在、チャンスをつかむためには、なるべく早く開業したいところです。
ホテルを新築する場合、プランづくりから建築確認申請などの各種手続き、工期などさまざまな工程があり、かなりの期間がかかります。
リノベーションもある程度の期間はかかりますが、既存の建物をベースにプランを考えたり工事を進めたりできるため、新築より工期を短縮しやすいです。
施工費用を抑えられる
ホテルのリノベーションは、新築より施工費用を抑えられるのもメリットです。
新築ホテルの建築費用は規模や構造によって変わりますが、鉄骨造や鉄筋コンクリート造になると1億円以上の金額になることが多いです。
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リノベーションは既存の構造を活かすことができるため、同じ規模の新築ホテルより施工費用を抑えられる可能性が高くなります。
構造にかかる費用を抑えられる分、内装や設備にコストをかけて魅力的なホテルに仕上げるなど、選択肢が広がるのもリノベーションのメリット。
好立地で開業できる可能性が高くなる
廃業ホテルまで選択肢を広げることで、新築や中古物件だけで探すより好立地で開業できる可能性が高くなるのもメリットの1つです。
新築だと好立地な土地はすでに抑えられていることが多く、仮に物件が見つかっても取得費用はかなり高額になります。
中古ホテルも、立地が良い物件はすぐに売れてしまう可能性が高いです。
前述したように、元々は安定した経営をしていたものの、コロナ過によって廃業を余儀なくされたホテルもあるため、選択肢を広げることで好立地な物件を見つけられるかもしれません。
廃業ホテル購入時に確認すべきこと
さまざまなメリットがある廃業ホテルの購入、リノベーションですが、注意すべきポイントもあります。
次のようなポイントを確認して、廃業ホテル購入のリスクを軽減しましょう。
廃業の理由
まずは、ホテルが廃業した理由を確認しましょう。廃業した理由によって、購入の可否や取るべき対策が変わってきます。
※ホテルの廃業の理由例
- 地域全体の需要の減少
- 競合ホテルの増加
- 経営者の高齢化や後継者不足
- 施設の老朽化と改修コストの負担
例えば、地域全体の観光需要が減少し、経営不振で廃業した場合、ホテル単体のリノベーションでは対策が難しいです。
逆に、地域の観光需要はあるものの、競合ホテルの増加で売り上げが減少して廃業した場合は、魅力的な施設をつくることで集客できる可能性があります。
経営者が高齢になり、後継者が見つからず廃業したケースも、経営状況や建物の状態によってはチャンスがありそうです。
築年数が進み内外装の老朽化が進み、維持管理や改修コストが負担になり廃業した場合は、建物の状態を特に念入りにチェックする必要があります。
このように、ホテルが廃業した理由によって対策が変わってきますので、購入前に経緯を確認しましょう。
廃業時期と建物の状態
ホテルが廃業した時期と建物の状態も、購入検討時にしっかりチェックすべきポイントです。
廃業から期間が空いている場合、メンテナンスが行き届かず建物の老朽化が悪化するリスクがあります。
リノベーション時の費用負担が大きくなる可能性があるため、いつ廃業し、どのように管理されているのか確認することが大切です。
リノベーションプランと費用
廃業したホテルを魅力的な施設にリノベーションするためのプランと、かかる費用を事前に把握するのも重要なポイントです。
あいまいなコンセプトやプランで概算費用を予測して物件を購入すると、実際の見積もりで予算オーバーしてしまうリスクが考えられます。
競合に負けないホテルにするために何が必要で、どれくらいの費用がかかるのか分からないと、物件購入の判断はできません。
廃業ホテルのリノベーションアイデアは?
実際に廃業ホテルのリノベーションを検討する際は、需要の変化やトレンドを踏まえた魅力的なアイデアを盛り込む必要があります。
※画像はイメージです。
例えば、クオリティの高いサウナをホテル内につくり、「サ旅」需要を取り込んで集客するのも1つのアイデアです。
また、釣りやロードバイクなど、特定の趣味に特化したホテルにリノベーションするのも、競合との差別化になります。
こちらのコラムでホテルのリノベーションアイデアや考え方について解説しています。
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また、前述したようにコロナ過明けでインバウンド需要が増加しているため、外国人観光客が利用しやすいホテルをつくるのも大切なポイントです。
インバウンド需要の動向や取るべき対策については、こちらのコラムをごらんください。
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まとめ
観光需要が大きく伸びている今、廃業ホテルを購入してリノベーションするのは有力な選択肢の1つとなるかもしれません。
アイデア次第で費用を抑えて集客力の高いホテルをつくれる可能性もありますので、検討してみてはいかがでしょうか。
秀建は店舗・商業施設づくりのプロフェッショナルとして、これまで多くのホテルリノベーションをお手伝いしてきた実績がございます。
これまで培ってきた技術力やアイデアでホテルリノベーションをお手伝いしますので、どんなこともお気軽にご相談ください。