バケーションレンタルとは?開業のメリットや市場規模を解説

宿泊施設

バケーションレンタルとは?開業のメリットや市場規模を解説

近年、バケーションレンタルが新しい旅のスタイルとして注目を集めています。

バケーションレンタルは従来のホテルや旅館とは異なる宿泊体験ができ、経営面でのメリットも多いため、今後の需要増加が期待されています。

この記事では、バケーションレンタルと民泊の違い、開業するメリットや市場規模について詳しく解説します。

 


コラムのポイント

  • ・バケーションレンタルとは、別荘やコンドミニアムなどを一棟丸ごと貸し出す宿泊サービスのことです。
  • ・ホテルや旅館より初期費用を抑えやすく、競合物件との差別化をしやすいのがバケーションレンタル開業のメリットです。
  • ・利用客数や旅行消費額などのデータから、バケーションレンタルの市場規模を推測してみましょう。

 

バケーションレンタルとは?

バケーションレンタル物件の内観

バケーションレンタルとは、観光客に対し、別荘やコンドミニアムなどの物件を一棟まるごと貸し出すサービスのことです。

一般的なホテルや旅館などの宿泊施設と比較すると、バケーションレンタルには次のような特徴があります。

 

※バケーションレンタルの特徴

  • 一棟貸しなのでほかの宿泊客と会わない
  • キッチンが付いていて自炊やBBQができる
  • 複数の部屋があり複数グループや大人数で宿泊できる
  • フロントが無くスタッフが常駐しない

 

ホテルや旅館のようなフロントが無く、ほかの宿泊客も居ないバケーションレンタルは、いわゆる貸別荘と呼ばれるサービスの一種と言えます。

元々海外では、別荘のオーナーが使わない期間貸し出す方法として、バケーションレンタルが一般的に普及していました。

日本でもコロナ過をきっかけに、人との接触を避けることができるバケーションレンタルに注目が集まり、新しい旅のスタイルとして今後の需要増加が期待されています。

バケーションレンタルと民泊の違いは?

ログハウスのバケーションレンタル物件

バケーションレンタルの営業形態はさまざまですが、広い意味では民泊の一部に含まれます。

 

「民泊」についての法令上の明確な定義はありませんが、住宅(戸建住宅やマンションなどの共同住宅等)の全部又は一部を活用して、旅行者等に宿泊サービスを提供することを指して、「民泊」ということが一般的です。

出典:民泊制度ポータルサイト はじめに「民泊」とは

 

上記のように、住宅を旅行者に宿泊施設として貸し出すことを民泊と呼ぶため、バケーションレンタルも同じカテゴリと言えるでしょう。

ただし、民泊にはマンションやアパート、戸建て住宅の一室を貸し出すケースなども含まれるため、バケーションレンタルとはユーザー層が異なります。

バケーションレンタルは、高級感のある別荘やコンドミニアムの一棟貸しが基本で、ラグジュアリーな旅のスタイルを求めるユーザーがターゲットです。

 

バケーションレンタル開業のメリット

バケーションレンタル物件の外観

一般的な宿泊業と比較して、バケーションレンタルの開業にはさまざまなメリットがあります。

ホテルや旅館より初期費用を抑えられる

バケーションレンタル開業は、新築、中古物件を改装した場合どちらでも、ホテルや旅館より初期費用を抑えられるのが大きなメリットです。

規模やコンセプトにもよりますが、ホテルや旅館を開業するためには、物件取得やスタッフの雇用などでかなりの費用がかかります。規模が大きい宿泊施設を鉄骨造やRC造でつくる場合、建設費用だけでも数億円単位の費用がかかるでしょう。

 

一棟貸しのバケーションレンタルログハウス

しかし、一棟貸しの別荘やコンドミニアムなら木造でも建てやすく、一軒家程度の広さなら数千万円から検討できるでしょう。また、中古の別荘や古民家を購入して改装すれば、新築より費用を抑えられる可能性も高いです。

ホテルや旅館よりリスクを抑えて開業しやすく、経営が軌道に乗ったら次の物件を取得するなど、選択肢が多いのは大きなメリットと言えます。

競合と差別化しやすい

バケーションレンタルは、立地やコンセプトで競合と差別化しやすい点もビジネスにおける大きなメリットになります。

ホテルや旅館の場合、広さや場所など法律面での制限が多く、開業場所の選択肢は限られることが多いです。しかし、バケーションレンタルの場合は一軒家程度の広さから開業できるため、競合物件が少ないエリアも選びやすいのがメリット。

また、ターゲットユーザーに合わせてコンセプトを調整しやすく、ファミリーや海外観光客、合宿や会社の研修など幅広い需要に対応できます。

広い敷地でBBQができるようにする、サウナを設置するなど、オリジナリティを出して競合と差別化する方法も豊富です。

外国人観光客の需要が期待できる

もともとバケーションレンタルは海外で主流の旅行スタイルであるため、国内だけでなく外国人観光客の需要が期待できるのもメリットの1つ。

コロナ過が明けた2024年は宿泊業全体が回復基調にありますが、特に海外からの外国人観光需要が大きく伸びている状況です。

〈関連コラム〉

2024年ホテル業界の市場規模をデータでチェック|国内外の観光需要の動向は?

 

一棟貸しのバケーションレンタルは外国人観光客の旅行スタイルにマッチしており、「Airbnb」「Vrbo」といった海外のサイトで集客しやすいのも特徴です。

観光庁もインバウンド需要の回復に向けた施策を立てており、バケーションレンタルで外国人観光客をつかむメリットは大きいでしょう。

参照:観光庁 インバウンドの回復に向けた集中的取組

 

バケーションレンタルの市場規模は?

実際にバケーションレンタルの開業を検討する際、日本での市場規模も気になるところです。

2020~2023年の直近のデータを見ながら、バケーションレンタルの市場規模を考えてみましょう。

 

※国内旅行の宿泊者数(千人)

 

2020年

2021年

2022年

2023年

 ホテル (洋室主体)

23,633

11,920

124,579

154,880

 旅館 (和室主体)

7,679

3,712

36,090

37,733

 ペンション・民宿・貸別荘

1,259

566

5,609

7,316

 民泊(有料の住宅宿泊)

61

138

1,292

1,191

※観光庁 旅行・観光消費動向調査を基に弊社作成

 

こちらは、1泊以上の国内旅行者数を、宿泊施設別に集計したデータです。

2020~2021年にコロナ過の影響で大きく落ち込み、2022年以降は回復基調に入っているのは宿泊業全体で同じ傾向です。

バケーションレンタルが含まれるペンション・民宿・貸別荘の宿泊者数は、ホテルや旅館に比べると少ないものの、順調に伸びていることが分かります。

また、一般的な民泊施設と比較して、貸別荘などの利用客数が多いことも、バケーションレンタルが注目されていることの表れと言えそうです。

 

※国内旅行の旅行消費額(百万円)

 

2020年

2021年

2022年

2023年

 ホテル (洋室主体)

4,479,313

3,742,673

8,783,875

11,797,809

 旅館 (和室主体)

1,508,390

1,327,140

2,338,699

2,440,863

 ペンション・民宿・貸別荘

223,878

253,154

361,382

482,441

 民泊(有料の住宅宿泊)

53,068

34,202

86,279

91,553

※観光庁 旅行・観光消費動向調査を基に弊社作成

 

宿泊施設別の旅行消費額のデータもチェックしてみましょう。

コロナ後は全体的に伸びているのは旅行者数と同じ傾向です。一方、ペンション・民宿・貸別荘は、2020~2021年に旅行者数が大きく減ったにも関わらず、旅行消費額の落ち込み幅は小さいのが特徴です。

ラグジュアリーな別荘やコンドミニアムでバケーションレンタルを開業すれば、景気や市場動向の影響を受けずに安定した経営が狙えるかもしれません。

また、旅館や一般的な民泊は2023年の伸びが鈍化している傾向がありますが、ペンション・民宿・貸別荘は安定して伸びているのも良い傾向と言えそうです。

まとめ

バケーションレンタルは、旅館やホテルより少ない初期投資で開業でき、コンセプトによって競合と差別化できるのがメリットです。

旅のスタイルの変化や外国人観光客の増加など、バケーションレンタルにとって追い風となる材料も多く、大きなチャンスがありそうなジャンルと言えそうです。

バケーションレンタルの開業を検討する際は、別荘や宿泊施設の建築・改装に詳しい施工会社に相談し、魅力的な施設を検討してみてください。

 

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(株)秀建 編集部

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