特命と入札、どちらが得?民間工事の場合のメリット・デメリットを比較

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特命と入札、どちらが得?民間工事の場合のメリット・デメリットを比較

国や官公庁の公共事業は入札が基本ですが、民間工事の発注も入札・特命を選ぶ事ができます。

特に発注金額が大きくなる店舗や商業施設は、入札と特命それぞれの特徴を比較検討して、メリットの大きい方法を選ぶ事が大切です。

今回は特命と入札の基本的な仕組みや段取り、メリット・デメリットについて詳しく解説します。

 


コラムのポイント

・特命と入札はそれぞれメリット・デメリットがあり、どちらが特になるかはケースバイケースです。

・工事金額と施工品質のバランスに注目し、コストパフォーマンスの発注方法を選びましょう。


 

特命と入札の仕組み

まずは特命発注と入札の基本的な仕組みと違いについて見ていきましょう。

 

特命とは?

特命発注の見積もり

特命とは施工会社をあらかじめ一社選定して見積もりを取り、契約・施工へ進めていく発注方式のことです。

過去付き合いのある施工業者や知り合いの紹介など関係性ができている場合、特命発注を選ぶ事が多いかもしれません。もちろん初めて発注する業者でも、技術力と信頼性があれば特命発注するケースはあります。

建物の設計と施工を一括発注するケース、設計事務所と施工業者に分離発注するケースなどプロジェクトの進め方はさまざまです。

 

入札と相見積もり

入札のイメージ図

入札(競争入札)とは複数の業者に条件を揃えて見積もり依頼し、金額を比較検討して一番安い額の一社を選ぶ発注方式のことです。

国や官公庁の入札と違い、民間工事では入札以外に発注側が参加する業者やルールを自由に決めることができる「相見積もり」があります。

一般競争入札のように最安値の業者に発注する決まりもなく、発注者側の都合に合わせて選定できるのも相見積もりの特徴です。

 

  • ①設計事務所に依頼して図面と仕様書を作成
  • ②参加企業を募って説明会を実施
  • ③見積もりが出そろった時点で比較検討
  • ④発注業者を決定・契約

 

民間工事の入札手順は大まかに上記の通りで、事前に設計図面と仕様書を作成し全社の条件を揃えてから見積もりを出します。

 

設計コンペとは

複数の業者を比較検討する発注方式として、入札と相見積もりとの違いにも触れておきましょう。

設計コンペは入札のように全社の条件を揃えるのではなく、大まかな施設の用途や要望条件などを各社に伝えてプラン提案と見積もりを比較するのが一般的です。

詳細な仕様を決めずに提案を依頼するため、工事金額だけでなく要望に対する提案力なども比較検討できます。

一方各社で設計自体が大きく異なることもあるため、工事金額が妥当かどうかは分かりにくいケースもあります。

 

特命と入札のメリット・デメリット

続いて、特命と入札それぞれのメリット・デメリットを詳しく掘り下げていきましょう。

発注方法を決めるための大切なポイントなので、ぜひ参考にしてください。

 

特命のメリット

特命発注の打ち合わせ風景

特命は最初から一社に絞ってやり取りするため、発注側・施工側の意思疎通がしやすくスピーディーにプロジェクトを進められるのが大きなメリットです。

例えば入札は見積もり前に正確な図面を用意しなければいけませんが、特命ならテナント図面だけ用意して概算見積もりですぐ物件契約をすることも可能です。

発注側の意図や要望が施工側に伝わっていれば問題ないので、図面や資料の点数を減らして手間とコスト削減にもつながります。

また見積もり比較検討の工程もないため、その分プランを煮詰めることに時間と労力を割くことができるのもメリット。

結果的に計画立案から着工までの時間も短縮できるため、オープン希望日が決まっている店舗の施工発注などにも向いています。

見積もりまでの期間が短いため、テナント物件が他の発注者に押さえられたり、ムダな空家賃が発生したりするのも防げます。

 

特命のデメリット

特命発注は複数の見積もりを比較検討できないため、工事価格の正当性が分かりにくい点は注意すべきデメリットです。

比較検討できないため多少高い見積もりが出てきても見極めが難しく、コストダウンの余地があるかどうかも分かりません。

極端な例ですが、競争相手がいないため提示した予算に対してギリギリの見積もりを出してくる可能性もあるワケです。

特命発注の場合信頼できる業者に発注することが大前提となり、付き合いのある業者が居ない場合は最初の情報収集と選定に時間を掛ける必要があります。

 

入札のメリット

複数の見積もりを比較検討できる入札発注は、価格の正当性が分かりやすく最安値を選べる点が最大のメリットです。

競争環境なので各社のコストダウンに対する工夫が期待でき、納得いく金額で工事を発注できる可能性が高くなります。特に発注金額の大きなプロジェクトほど、入札発注によるコスト面のメリットは大きくなるでしょう。

また前述したように民間工事の入札では最安値の業者に発注するルールはないため、価格と信頼性のバランスを見ながら会社を選ぶ事も可能です。

 

入札のデメリット

入札に必要な設計図面

各社の条件をきっちりそろえる必要がある入札は、計画立案から見積もりが出そろって発注するまでに時間と手間がかかる点がデメリットです。

まず設計事務所に依頼してしっかりした設計図面を用意しなければ、入札を開催することができません。

また入札に参加する業者の選定や通知、説明会の段取りなども多くの手間と時間がかかります。

そもそも初めての入札だと、どのような手順で進めれば良いのか調べるところから始めなければいけません。

設計図面を作成し、入札参加業者を見つけて説明会の日取りを決め、実際に見積もりが出てくるまで一か月以上かかることがほとんどです。多くの手間と時間がかかることから、入札の段取りをそのまま設計事務所に依頼するケースも多いようです。

この期間中は目に見えないさまざまなコストが発生するため、最安値で発注しても結局トータル費用はあまり安くならない可能性もあります。

また価格競争によってムリなコストダウンが発生すると、品質に影響を及ぼすことも考えられます。

ただ最安値の業者を選ぶのではなく、価格と施工品質のバランスを見極める目も必要になるということです。

 

結論:特命と入札、どちらが得?

施工前のテナントビルの内部

ここまでご説明したように特命と入札はメリット・デメリットがあり、どちらが特になるかはケースバイケースです。

例えば時間に余裕があり納得いくまで金額を突き詰めたいなら、入札で見積もり比較するほうがメリットは大きいでしょう。

一方すぐにテナント物件を押さえたい状況では、入札だと時間がかかり過ぎてほかに取られてしまう可能性が高くなります。

既に物件を契約している場合は、入札で時間がかかると余計な空家賃が発生し、せっかく安く発注できてもトータル費用が高くつくケースも考えられます。

このように時間の余裕がない場合は、特命で一社とスピーディーに仕事を進めるメリットの方が大きいでしょう。

ただし最終的にどちらが特になるかは、事業内容や規模、物件状況などによっても変わります。

入札・特命どちらを選ぶにしても、損得勘定抜きで適切なアドバイスができる専門家の存在が望ましいところです。

 

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監修者情報

(株)秀建 編集部

(株)秀建 編集部

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