【物販店舗】用途変更に必要な手続きと注意点まとめ

物販

物販店舗の用途変更

飲食店を物販店舗に改修、オフィスを物販店舗に改装、といったように建物の使い方を変更する際必要な『用途変更』。申請書類の提出が必要だったり、費用がかかったり…と開業準備と同時に進めなければならない手続きがたくさんあります。わからないから、と用途変更をせずに開業を進めてしまうと、罰金が課されてしまうことも。
今回のコラムでは、用途変更の必要性や流れ、必要な手続き、注意点など、用途変更に関する基礎知識をまとめてご紹介します。


コラムのポイント
・既存の建物を、異なる使い方に変更する手続きのことを用途変更といいます。物販店舗を開業する場合、テナントがどのように使用されていたのかによって申請の要不要が変わります。
・用途変更の手続きを進める場合、建築基準法とあわせて各都道府県の条例や消防法など、様々な法令を確認する必要があります。後で慌てることのないように、手続き面もサポートしながら施工を進めてくれる業者とともに開業準備を進めていきましょう。


 

物販店舗開業前に大切な『用途変更』とは

物販店舗の用途変更

建築基準法において、既存の建物(不動産)を、異なる使い方に変更する手続き(確認申請の一部)のことを用途変更といいます。建物の使い方を変更する全てのケースでこの手続きが必要になる、というわけではなく、

・用途変更する面積が200㎡を超える
・特殊建築物に変更する

この場合、手続きが必要です。

 

特殊建築物とは、多くの人が集まる建築物、衛生面や防火面を考えた時に厳しい規制が必要な建築物のことで、旅館や百貨店、飲食店、公衆浴場がこれにあたります。現在は飲食店として使用しているテナントを物販店舗に変更する、事務所として使用している建物を物販店舗に変更する、といった場合、用途変更をする必要があります。手続きは原則として建物の持ち主の有資格者が行い、貸主は一般的に代理人に手続きを代行してもらいます。建物の用途は、『建物の概要書』と『検査済み証』を取得すれば確認できるため、一度確認してみるのがおすすめです。

 

一方で、今までとは異なる使い方はするものの、似たような使い方をする場合は『類似用途』となるため用途変更は必要ありません。劇場を映画館に、体育館をボーリング場に、といった場合がこれにあたります。

 

 

 

用途変更が必要な理由

建物をどのように使うのかによって、安全に使う基準は異なります。事務所として使用されていた場所と、多くの人が集まる物販店舗とでは、避難経路を確保する方法や採光、温度、湿度、通風に関する機能など求められることが異なります。利用する方の安全を守り、そのための環境を整えるために用途変更は必要なのです。

 

用途変更を怠ると…

建物は、どのように使用するのかによって満たすべき基準が異なります。これらの基準を満たしていない場合、火災が起こった時に避難経路が確保できなかったり、採光が不十分で過ごす人の体調に悪影響を与えたり、など問題が起こった時に被害が拡大する可能性があります。
もし用途変更の手続きを怠っていた場合、建築基準法で1年以下の懲役か100万円以下の罰金と定められています。さらに、何かしら被害が生じた際、刑事責任を問われたり民事訴訟につながったりする可能性もあります。また、建物の安全性が満たされていないと判断され営業許可がおりない可能性もあります。取り返しのつかない事になる前に、やるべき手続きはしっかりと行っておきましょう。

 

用途変更の要・不要の判断は複雑で難しいため、物販店舗を施工する際は不明な箇所についてしっかりと対応できる業者に依頼すると安心です。

 

参考記事:【商業施設】ビジネスの成功を左右するリーシング会社の本音とは

 

 

 

【物販店舗】用途変更の流れと手続き内容

物販店舗の用途変更

それでは、用途変更の流れと手続きについて順番にみてみましょう。

 

①必要書類の準備

建物の完成時に交付された『検査済証』を準備します。
検査済証が存在しない場合、建築確認書に基づいた調査を一級建築士もしくは建築基準適合判定資格者に依頼することで、検査済証と同等の報告書を発行してもらうことができます。検査済証や建築確認書を紛失した場合、台帳記載事項照明で代用もできます。
竣工図や構造計算書も確認しておきましょう。

②法令確認

既存不適格はあるのか建築時の法令を確認し、現行の関係法令も確認します。既存不適合とは、建築後の法改正によって、現行法に対して不適格な部分が生じてしまった建築物のことで、用途変更をする際に法令適合させる必要があります。

③確認申請書の作成・提出

物販店舗の確認申請図面、確認申請書を作成し、提出します。

 

確認申請書を提出し、確認済証が取得できたら着工できます。着工後も工事完了届を提出したり、消防署や関係機関の検査を受けたりと様々な手続きが必要になるため、その辺りも理解した上で余裕を持ったスケジュールを組むようにしましょう。

 

参考記事:おしゃれな店舗什器で差をつける!内装づくり6つのポイント

 

 

 

【物販店舗】用途変更の注意点

物販店舗の用途変更

用途変更を進める際、以下のポイントに注意して進めるようにしましょう。

 

200㎡以下の確認申請に注意

基本的に、200㎡以下の用途変更をする場合、確認申請は必要ありません。しかし、合算して200㎡を超える場合、確認申請が必要になります。
例えば、建物1階部分150㎡だけを用途変更するのではなく、2階部分150㎡も物販店舗として用途変更する場合、それぞれの面積は150㎡ですが合算すると200㎡を超えてしまいます。状況によって変わるので、注意しておきましょう。

 

消防への届出を忘れずに

用途変更に関する手続きを進める際、準備する書類や内装計画などたくさんの仕事に追われていると消防への届出を忘れてしまうことがあります。用途変更の際、確認申請は必要なくても消防への届出は必要です。
飲食店や事務所として使用されていた建物を物販店舗に用途変更する場合、防火対策や消防設備の設置、避難経路など今までとは異なる消防設備を整え工事を行う必要があります。平面図や詳細図、断面図、展開図といった届出に必要な書類の準備だけでなく、場合によっては防災管理者の選任が発生することもあるため、念頭に置いた上で準備を進めていきましょう。

 

参考記事:オリジナルの店舗什器で図る差別化&売り上げアッ プの効果的な方法

 

 

 

物販店舗の開業を進めるなら…

物販店舗の用途変更

用途変更の手続きを進める場合、建築基準法とあわせて各都道府県の条例や消防法など、様々な法令を確認する必要があります。後で慌てることのないように、こういった面もカバーしながら施工を進めてくれる業者とともに開業準備を進めていきましょう。

 

株式会社 秀建は、内装工事全般だけでなく、外構から躯体までの建築工事や電気・空調換気・給排水・温浴などの設備工事も熟練プロが対応しています。物販店舗も自社で一貫した施工が可能となっているため、「建築」と「内装」などの二分された連絡・調整・依頼ロス等がありません。
施工のプロフェッショナルだからこそ、オーナー様やテナント様のニーズに合わせた工事を進めていくことができます。物販店舗の改修や移転、用途変更における不安や疑問などは、お気軽にお問い合わせください。

監修者情報

(株)秀建 編集部

(株)秀建 編集部

店舗やオフィスの設計・内装・施工、公共工事のプロフェッショナル(株)秀建が発信するオウンドメディア。
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