(株)秀建 編集部
サウナの男女混浴は法律でどうなってる?公衆浴場法・条例を調べてみた
空前のサウナブームが続く日本では、カップルや友人同士など、男女でサウナに入りたいというニーズも増加しています。
銭湯や温泉といった公衆浴場は原則的に男女の混浴がNGですが、水着着用などの条件付きで一緒に入れるサウナ施設も存在します。
今回はサウナの男女混浴について、公衆浴場法や都道府県条例など法律でどう定められているのか調べてみました。
コラムのポイント
- サウナの男女混浴の基準は、都道府県・市区町村によって異なり、混浴できる自治体・できない自治体に分かれます。
- 男女混浴が許可される可能性がある自治体、NGな自治体の条例を比較してみましょう。
サウナの男女混浴について公衆浴場法を調べてみた
サウナは公衆浴場法における「その他の公衆浴場」に分類されます。厚生労働省が定める公衆浴場法では、男女混浴についてどのように規定しているのでしょうか。
第三条
- 営業者は、公衆浴場について、換気、採光、照明、保温及び清潔その他入浴者の衛生及び風紀に必要な措置を講じなければならない。
- 2 前項の措置の基準については、都道府県が条例で、これを定める。
引用元:e-gov法令検索 公衆浴場法
実は、公衆浴場法には男女の混浴について明言している条文はありません。上記のように、「入浴者の衛生及び風紀に必要な措置」が、男女の混浴禁止を指しています。そしてその男女混浴の基準については、都道府県の条例で定められると明記しています。
つまり、銭湯やサウナの混浴については、都道府県ごとに基準が異なる可能性があるということです。
例えば、2022年に男女の混浴可能年齢が引き下げられましたが、これは全国統一ではなく自治体によって対応はバラバラです。多くの都道府県では混浴年齢制限が「おおむね10歳以上」から「おおむね7歳以上」に変更されました。しかし、千葉県を例に挙げると、千葉市・船橋市・柏市は除外されています。
また、日本全国にある温泉の中には、昔からの慣習で男女混浴が事実上黙認されている場所もいくつか存在します。このような状況を考えると、サウナも管轄する自治体によっては、男女混浴できる施設をつくれる可能性がありそうです。
サウナの男女混浴について公衆浴場法施行条例を調べてみた
続いて、サウナの男女混浴を規定している自治体の条例について調べてみましょう。「公衆浴場法施行条例」の中に男女混浴について明記されていますが、実は条文の内容は自治体ごとに異なります。いくつかの自治体の例を挙げてみましょう。
少し複雑な条文の解説が続きますので、結果だけ知りたい方は最後のまとめだけチェックしてみてください。
東京都豊島区の公衆浴場法施行条例
まずは東京都豊島区の公衆浴場法施行条例の中で、男女混浴について規定している部分を抜き出してみましょう。
第4条1項14号
- 7歳以上の男女を混浴させないこと。
第4条1項18号
- 脱衣室及び浴室は、それぞれ男女を区別し、その境界には障壁を設ける等相互に、かつ、浴場外から見通せない構造とすること。
引用元:豊島区 公衆浴場法施行条例
豊島区は前述した男女混浴年齢の引き下げに対応し、7歳以上の男女混浴禁止とはっきり規定しています。また、脱衣所・浴室も男女別にしたうえで、見通せない構造にする必要があるようです。
第5条 (基準の特例)
- 区長は公衆浴場の営業形態若しくは構造設備により、又はその設置が短期間であることにより、公衆衛生上支障がないと認めるときは、前条(同条第1項第6号及び第2項第1号を除く。)に定める基準の一部を適用しないことができる。
引用元:豊島区 公衆浴場法施行条例
しかし、次の第5条で、先ほどの男女混浴禁止についての特例が記載されています。分かりやすくまとめると、「豊島区長が公衆衛生上支障がないと認めた場合混浴できる可能性がある」ということです。
東京都中央区の公衆浴場法施行条例
次に、同じ東京都内の中央区の公衆浴場法施行条例を見てみましょう。
第5条3項3号
- 七歳以上の男女を混浴させないこと。
引用元:中央区公衆浴場法施行条例
中央区も7歳以上の男女混浴禁止と明記してあります。
(構造設備の基準の特例)
- 第九条 第四条第一項及び第六条の規定にかかわらず、普通公衆浴場の営業者にあっては第四条第一項第七号、第十一号、第十三号及び第十五号に規定する基準について、その他の公衆浴場の営業者にあっては第四条第一項第三号並びに第六条第四号(第四条第二項第五号に準じる部分に限る。)及び第五号に規定する基準について、土地の状況、建物の種類、施設の規模その他特別の理由によりこれらの基準により難い場合であって、区長が公衆衛生上支障がないと認めるときは、これらの基準によらないことができる。
引用元:中央区公衆浴場法施行条例
中央区の場合、男女混浴を禁止している「第5条」が特例の範囲に含まれていないため、例外は認められないと読み取ることができます。
千葉県千葉市の公衆浴場法施行条例
先ほどの混浴年齢制限の例でも挙げた、千葉県千葉市の公衆浴場法施行条例もチェックしてみました。
第4条19項イ
- サウナ室は、男女別に設け、かつ、その境界には、隔壁を設けて、相互に見通すことができないようにすること。
引用元:千葉県千葉市 公衆浴場法施行条例
千葉市の条文には「男女混浴禁止」は明記されていませんが、サウナ室の構造を男女別にするよう規定されています。
第5条2項
- 前項の規定にかかわらず、市長は、施設の規模及び利用の目的、設置の場所の状況その他特別な理由により入浴者の衛生及び風紀に支障がないと認めるときは、前条第1項第1号から第4号まで、第7号から第10号まで、第12号、第18号イ及びウ並びに第19号ア及びイに定める基準を緩和し、又はその一部の適用を除外することができる。
引用元:千葉県千葉市 公衆浴場法施行条例
ただし、豊島区と同じパターンで、千葉市長が公衆衛生上問題ないと判断すれば、男女混浴できる可能性がありそうです。
まとめ:サウナの男女混浴は自治体で判断が分かれる
※サウナの男女混浴可否について
- 豊島区:区長の判断で可能性あり
- 中央区:不可
- 千葉市:市長の判断で可能性あり
男女混浴の可否について、ここまで見てきた3つの自治体は上記のように可否が異なります。条文だけで判断すると、豊島区・千葉市は営業形態や建物の構造次第で男女混浴の可能性がありそうです。逆に中央区は、特例で男女混浴が認められる可能性がないということになります。
男女混浴できるサウナはどうつくる?
旅館業法の管轄となる旅館やホテルの家族風呂を除き、公衆浴場法の管轄となる「その他の公衆浴場」は原則的に男女混浴はできません。しかし、前述したように自治体によっては、店舗のつくり方次第で例外的に男女混浴できる可能性もありそうです。男女混浴できるサウナをつくるためには、まず開業・出店を検討する地域の自治体への事前相談が必須になります。
ただし、男女混浴の許可を受けるためには「公衆衛生上問題ない」と認められる必要があり、そのためにはさまざまな条件を提示されるはずです。自治体から提示される規制や基準を確実にクリアするためには、サウナ実績が豊富な施工会社と一緒に事前相談をするのがおすすめです。
施工ノウハウに乏しい会社だと自治体から提示された条件に対する解決策が見つからず、混浴NGと判断される可能性があります。逆に、サウナ実績が豊富な施工会社なら、さまざまなアイデアや工夫で条件をクリアできる可能性が高くなるでしょう。どのようなサウナ施設づくりでも施工実績は重要ですが、男女混浴は特にハードルが高くなるため、経験豊富な会社に相談してください。
男女混浴できるサウナ施設づくりの相談・お見積もりは、店舗・商業施設づくりの秀建にご相談ください。多くのサウナづくりをお手伝いした実績がございますので、自治体との事前協議などどんなこともお手伝い可能です。