どの新規事業でも事業計画書は不可欠なモノですが、サウナ・温浴事業にとっても重要な意味を持っています。
しかしサウナ開業が初めての方にとっては、どこから手を付けて良いのか分からない最初のハードルでもあります。
今回はサウナ開業における事業計画書の役割や重要性、基本的な内容と準備などを詳しく解説します。
コラムのポイント
・サウナ事業では穴のないリアルな事業計画を立てることが重要です。
・どのような準備が必要なのか把握し、スムーズに事業計画書を作成しましょう。
サウナにおける事業計画書の役割
多くの人員と資金が必要になるサウナ事業にとって、事業計画書は特に重要な役割を持っています。
まずは事業計画書が持つ2つの役割について考えてみましょう。
事業内容を明確にする
事業計画書の1つめの役割は、頭の中にある計画を整理し、実現可能な形に具体化することです。
「こんなサウナを作りたい」という抽象的なアイデアをどのように実現し継続していくのか、事業計画書で一つずつ明確にしていくのです。
一般的なサウナ施設は初期投資が数千万~億単位になることも多く、一度作ると他の業態へ転用するのが困難です。
つまり万が一失敗したとき撤退や方向転換ができないため、事業計画を綿密に作り上げて確実に利益が出るサウナをつくらなければいけません。
理想のサウナ施設をつくり、事業を持続していくためには、最初にリアルな事業計画を立てることが重要となります。
人に事業内容を伝える
資金・人員などの協力を要請する際、人に事業内容やコンセプトを伝えるのも事業計画書の大切な役割です。
前述したように多額の資金が必要になるサウナ開業では、融資依頼の際に事業計画書の内容や精度が大きな判断材料になります。
事業計画が甘いと審査を通るのは難しいですし、仮に資金調達できて開業にこぎつけたとしても、成功する確率は低いでしょう。
またコンサルタントに事業内容をチェックしてもらったり、共同経営者を募ったりする際にも、事業計画書は重要な役割を果たします。
事業計画書の基本的な内容
事業計画書は、投資家・金融機関・共同経営者など誰に見せるかによって書くべき内容が変わります。
ここでは基本的な内容についてチェックしていきましょう。
企業(創業者)の経歴
まずは創業者自身のプロフィールや経営している企業の実績などを記載します。
これまでの社会活動で得てきたスキルやノウハウ、会社経営をしている場合は実績も細かく記載しアピールする必要があります。
サウナ事業を実現できる実力を持っているかどうかの判断材料になることも多く、融資やメンバー集めにも影響します。
サウナ事業の概要とコンセプト
どのようなサウナ施設・サービスを作りたいのか、事業の概要を伝える内容です。
そもそもなぜサウナなのか?事業を通じて何を成し遂げたいのか?顧客にどんなメリットがある施設なのか?といった、サウナ事業に対する熱意を伝えることも大切になります。
市場・競合調査
開業予定のエリアの市場規模や競合店の状況なども調査し記載します。
競合サウナの強み・弱みを分析し、開業する施設でどのように勝っていくのかもアピールする必要があります。
開業資金
サウナ施設づくりにどれくらいの費用が掛かり、いくら資金調達する必要があるのかなどを記載します。
過不足が無いよう、実際の見積もりを基に根拠のある数字を明示する必要があります。
財務計画
開業後3~10年前後まで、売上高・経費・返済金などを試算し、どれくらいの利益が見込めるのか記載します。
市場規模や施設のキャパシティから「一日の来場数×客単価」など根拠のある売り上げ予測を立て、経費などを差し引いて確実に返済できる計画を立てることが大切です。
人員計画
実際にサウナを運営していくにあたり、どれくらいの従業員を雇用する予定なのか記載します。
正社員・アルバイトなどの役割ごとに、どれくらいの報酬が発生するのかなどの情報も必要になります。
開業スケジュール
施設の着工から完成までの期間、スタッフ採用や教育、宣伝などオープン準備が整うまでのスケジュールも必要です。
なるべく具体的に、トラブルがあってもオープン予定が遅れないようなスケジュールを考えましょう。
サウナ事業計画に必要な準備
事業計画書のフォーマットは簡単に手に入りますが、いきなり机に向かって作成できる物ではありません。
サウナの事業計画を立てるために必要な準備と、大まかな流れについて見ていきましょう。
コンセプト立案~市場調査
事業計画を立てるにあたって、まずどんなサウナ施設にするのかコンセプトを練りこむことが重要です。
現在は全国的なサウナブームで追い風が吹いている状況ですが、ただ新しい施設をつくるだけでは安定経営は難しいでしょう。
競合にない強みを盛り込み、お客様を呼べる計画を立てることは資金調達面でも重要です。
また次の物件探しの前段階として、サウナの利用客が十分に居るエリアの市場調査も必要です。
立案したコンセプトにマッチする性別・年齢のユーザーが居る商圏を探し、競合についてもしっかり調査しましょう。
物件探し
コンセプトと開業エリアが定まったら、候補となる物件探しです。
賃料やアクセスといった条件に加え、サウナづくりの向き不向きなども重要な判断ポイント。
サウナ施設は電力・水圧容量など物理的な制限、建築基準法・消防法・公衆浴場法などの法令もクリアしなければいけません。
できればサウナ施工のノウハウが豊富な施工会社と一緒に内見をするのがおすすめです。
経営を圧迫しない賃料の範囲内で、思い描くサウナづくりを実現できる物件を探しましょう。
基本計画~概算見積もり
候補物件が見つかったら設計事務所に依頼し、見積もりの材料となる基本計画図書を作成します。
サウナ施設のレイアウトやキャパシティなどを決め、基本計画図書を基に施工会社が概算見積もりを作成してどのくらいの費用が掛かるのか分かります。
売り上げ予測
施設の売り上げ予測は融資審査でも特にチェックされる項目で、当然経営上も重要な数字となります。
施設のキャパシティに対する稼働率をリアルにシミュレーションし、客単価を設定して根拠のある売り上げ予測を立てる必要があります。
前述した市場調査で割り出した商圏人口やエリアの特性、客単価と入場者数のバランスなども考慮しなければいけません。
ランニングコスト試算
サウナ施設は多種多様なランニングコストが掛かるため、やはり綿密にシミュレーションする必要があります。
例えば温浴施設は、水道光熱費一つとっても一か月あたり数十万~百万円単位の出費になります。
貸出用バスタオルやシャンプーなどのリネン類、機械の定期メンテナンスなど、表には見えにくいランニングコストもさまざま。
漏れのないようにランニングコストを試算しないと、入場料を設定することもできません。
サウナ経営に知見のある人物のアドバイスなども参考にしましょう。
まとめ
事業計画書はどの業種にとっても欠かせないものですが、多額の初期投資が必要になるサウナ事業では特に重視すべきです。
今回は事業計画書の内容や準備についての基本を紹介しましたが、精度の高いサウナ開業計画を立てるためには、さらに多くのポイントについて考える必要があります。
本気でサウナを開業したいと考えている方は、有料のサウナセミナー・研修などでさらに質の高い情報収集も検討してみても良いでしょう。
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