(株)秀建 編集部
飲食店経営で重要なFL比率とは?固定費・変動費を把握しよう
飲食店の開業計画では、綿密な経営計画が求められます。家賃や正社員の人件費といった固定費、食材原価や水道光熱費などの変動費など、どんな費用がかかるのか把握し、確実な経営計画を立てる必要があるのです。
この記事では、飲食店経営で発生する固定費・変動費の内訳、重要な経営指標とされるFL比率などの基礎知識を分かりやすく解説します。
コラムのポイント
- ・飲食店の経営にかかる固定費や変動費の内訳を把握し、スムーズな開業計画を立てましょう。
- ・FL比率とは売上高に占める食材原価・人件費の比率のことです。FL比率が重要と言われる理由や、目安について把握しておきましょう。
- ・飲食店経営の中でも比率が高く、後から削減するのが難しい固定費について、開業前にしっかり考えておくことも大切です。
飲食店経営にかかる固定費・変動費の内訳
まずは、一般的な飲食店経営にかかる固定費・変動費の内訳を把握しておきましょう。
飲食店の固定費
固定費の種類 | 内容 |
家賃 | 店舗を借りる場合の家賃や地代 |
正社員の人件費 | 売り上げに関係なく発生する正社員や調理人の月給 |
借入金・支払利息 | 店舗づくりや運転資金で借入した場合の毎月の返済額 |
リース料 | 調理機器などをリースしている場合の月額費用 |
通信費 | インターネット回線や電話などの使用料 |
減価償却費 | 調理機器や冷蔵庫などの減価償却費 ※実際に支払いは発生しない |
保険料 | 火災保険や賠償責任保険などの月額費用 |
飲食店の経営にかかる固定費は、主に上記のような種類があります。固定費は売上に関係なく、毎月決まった支払金額が発生します。家賃や機器のリース代など金額が大きいものもあれば、通信費や保険料など積み重なると大きな負担になる項目も。
固定費は後から削るのが難しいため、どんな費用が発生するのか正確に把握し、経営計画に組み込んでおくことが大切です。
飲食店の変動費
変動費の種類 | 内容 |
食材原価 | 商品を提供するための仕入れ費用 |
アルバイトやパートの人件費 | 労働時間や雇用人数で変動する人員の給料 |
水道光熱費 | 電気・水道・ガスの使用料金 |
広告費 | ポータルサイト・フリーペーパー・折込チラシなどの掲載料、SNS広告の出稿料など |
消耗品費 | 割りばしやストロー、おしぼりや事務用品など |
修繕費 | 店舗の修繕や改装にかかる費用 |
飲食店で発生する変動費は、主に上記の様な種類があります。変動費は売上や店舗の状況によって支払金額が変わります。例えば、開業直後で新規顧客の獲得が必要な状況では、ポータルサイトやSNS広告など、多めに広告費をかける必要があるでしょう。
また、売上が増えてきた段階では、アルバイトやパートを増員し、人件費が増える可能性もあります。消耗品費や修繕費も、店舗の規模や売り上げによって変動する項目です。
飲食店の変動費の中でも食材原価と人件費は比率が高く、重要な経営指標の1つと言われています。次の章で、具体的にチェックしていきましょう。
飲食店のFL比率とは?
FL比率とは、売上高に占める食材原価と人件費の比率のことです。FはFood(食材費)、LはLabor(人件費)の略です。
※FL比率の計算式
FL比率(%) = (食材費+人件費) ÷ 売上高 × 100
FL比率は上記の計算式で求められます。
例えば、月の売上高200万円、食材費60万円、人件費40万円の場合は「100÷200×100=50」でFL比率は50%です。
FL比率が高いほど利益が少なく、低いほど効率的に利益が上がっている状態ということになります。
食材費と人件費は飲食店の変動費のなかで大きな比率を占めるため、FL比率は経営上の重要な指標と言われています。
例えば変動費の中でも、水道代や電気代などの光熱費は5%前後が目安と言われているため、節約を心がけても大きな金額差にはなりません。消耗品費や広告費も大きく削減するのは難しいでしょう。しかし、人件費や食材コストは変動幅が大きく、削減できることも多いため、飲食店経営に大きく影響します。
飲食店の適正なFL比率の目安は?
一般的に飲食店のFL比率は60%以下が適正と言われています。内訳としては、Fコストが35%、Lコストは25%の比率が目安と言われています。
ただし、同じ飲食店でも、業種やコンセプトによって適正なFL比率の目安は異なるため注意が必要です。
例えば、多くのスタッフが必要な飲食店で高品質なサービスを提供するなら、人件費は多めにかかる可能性があります。アルバイトやパートを雇用する場合でも、接客を重視するなら高めの時給を設定する必要もあるでしょう。また、営業時間が長い飲食店は、アルバイトやパートの人件費も高くなります。
逆に、少ない人数でも運営できる飲食店なら、人件費の割合を抑えられる可能性もあります。例えば、ファミリーレストランやファーストフードなど接客の重要性が高くない飲食店は、モバイルオーダーの導入でホールスタッフを削減している事例も多いです。
FL比率の目安はあくまで参考として、開業する飲食店の規模やコンセプトに合わせて、無理のない計画を立てることが大切です。
また、仕入先の選定で食材原価を抑えたり、余剰在庫や廃棄を減らしたりして、FL比率を下げる工夫をするのも重要なポイント。単にFLコストを落とすと商品やサービスの品質低下につながるため、両立する工夫が求められます。
飲食店経営は固定費の把握も重要
飲食店の経営計画では、変動費だけでなくどんな固定費がいくらかかるのか把握することも重要です。固定費は売り上げに関係なく発生するため、無理なく支払える金額を見極める必要があるのです。
例えば、固定費の中でも家賃は割合が大きく、後から削るのが難しい費用です。家賃交渉で多少は削減できる可能性はありますが、大きく減らすのは難しいでしょう。また、交渉で家賃を下げられたとしても、次回の更新を断られてしまい、店舗を継続できなくなるリスクも考えられます。
立地や広さなども重要ですが、家賃が高すぎると、閑散期などで売り上げが減少した際に支払いが難しくなり、運転資金を圧迫してしまいます。売り上げを急に大きく伸ばすのは難しいため、経営を圧迫しない家賃を見極める必要があるのです。
また、店舗づくりや開業直後の運転資金などで融資を受ける場合、毎月の返済額も大きな固定費となります。万が一支払いが滞ると店舗を失ってしまうリスクもあるため、確実に返済できる資金計画を立てることが重要です。
飲食店づくりの際は、前述したFLコストや固定費を踏まえて綿密な経営計画を立て、物件探しや内装計画も連動して考える必要があります。
まとめ
飲食店経営を成功させるためには、開業前から変動費や固定費について正確に把握し、無理のない資金計画を立てることが大切です。まずはどんな飲食店でどのようなサービスを提供したいのか明確にし、かかる費用を正確に拾い出しましょう。
飲食店の経営計画には、家賃や店舗づくりにかかる初期費用の把握も必要です。物件選びや内装工事費用が、家賃や返済金などの固定費に影響するためです。経営計画と並行して、飲食店の内装工事に詳しい施工会社への相談も進めましょう。
私たち秀建は、店舗・商業施設づくりのプロフェッショナルとして、多くの飲食店内装工事をお手伝いしてきました。
多くの実績で培った技術力を活かし、コンセプトに合わせた物件選びやお客様に支持される内装工事計画など、飲食店の開業をしっかりサポートいたします。内装工事のことなら、なんでもお気軽にご相談ください。