飲食店の厨房防水工事が重要な理由|施工方法の種類や選び方

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飲食店の厨房防水工事が重要な理由|施工方法の種類や選び方

飲食店の開業で内装工事をする際、厨房の防水工事は重要なポイントです。

防水工事をおろそかにすると、厨房の衛生環境を保つことができず、臭いや食中毒など営業に関わる重大なトラブルにつながります。また、テナントビルなどの飲食店は、厨房からの漏水で多額の賠償責任を求められる恐れも。

この記事では、飲食店の厨房防水工事に必要な基礎知識を分かりやすくまとめます。スケルトン物件・居抜き物件どちらにも共通の内容ですから、ぜひ飲食店開業計画にお役立てください。

 


コラムのポイント

  • ・飲食店の厨房防水工事は後から施工すると余計な手間と費用がかかるため、内装工事と同時に実施するのが一般的です。
  • ・ウレタン・FRP・シートなど、厨房防水工事の種類ごとの特徴や費用の傾向などを詳しく解説します。
  • ・既に厨房がある居抜き物件の場合でも、防水工事が必要になるケースが多いため、必ず状態を確認しましょう。
  • ・飲食店の防水工事を相談する会社選びのポイントも押さえておきましょう。

 

飲食店の厨房防水工事が重要な理由

防水工事が必要な飲食店の厨房

飲食店の厨房は多くの食材や水を扱う場所ですから、防水工事が不可欠です。

厨房のシンクやキャビネットの下には、食材の破片や汚れなどが溜まりやすく、水を流して清掃する必要があります。最近は厨房の床を乾燥した状態に保つ「ドライキッチン」という考え方もありますが、水による洗浄を全くしないわけではないため、防水処理は必要です。

定期的に水を流して厨房の床を清掃しないと、食材の破片が腐食したり、カビや細菌が繁殖したりして臭いや食中毒の原因になります。もし食中毒が発生すれば行政処分を受ける可能性があり、店舗の評判が悪化し集客や経営に影響するリスクも。

また、厨房が適切に防水処理されていないと、漏水によって階下の店舗や住居に被害を及ぼすリスクも考えられます。漏水で周囲に被害が出ると、賠償責任を負うことになります。保険に加入していても、修繕や防水工事のやり直しのために営業ができず、大きな機会損失に。

このように、飲食店の厨房を清潔かつ安全な状態に保つためには、防水工事が不可欠です。オープン後に防水工事をするのはかなり大変ですから、必ず内装工事と同時に実施してください。

 

厨房防水工事の施工方法の種類

飲食店の厨房防水工事の様子

飲食店の厨房防水工事の施工方法はいくつか種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。耐用年数の目安や費用の傾向などをそれぞれチェックしましょう。

 

ウレタン防水

ウレタン製の樹脂素材を床面に塗布して、防水層をつくる施工方法です。

厨房防水工事の中では、比較的費用が控えめなのがウレタン防水のメリット。飲食店の厨房防水工事で採用されることが多い方法です。液体状の材料を塗布する施工方法なので、入り組んだ場所に対応しやすいのも特徴。

一方、耐久性はやや低めなのがウレタン防水のデメリット。耐用年数は2~5年が目安と言われており、長く営業を続ける場合は定期的なメンテナンスが必要になります。

 

FRP防水

ガラス繊維などで強化されたプラスチック素材(FRP)のシートを床に敷き、ポリエステル樹脂を塗布して防水層をつくる施工方法です。

FRP防水は耐久性や耐熱性が高いのがメリットです。飲食店だけでなく屋上やバルコニー、船舶のデッキなど雨風や紫外線など厳しい条件にさらされる場所にも採用されています。耐用年数の目安は10年以上と言われており、厨房のメンテナンス頻度を下げられるのが大きなメリットです。

また、FRP防水は硬化速度が速く、工期を短縮しやすいのもうれしいポイント。前述したウレタン防水に比べると費用相場は少し高めですが、スムーズな開業や長期営業を考えるなら検討したい施工方法です。

 

シート防水

塩化ビニールなどの防水シートを床に接着する施工方法です。

シート防水は耐用年数が長く、10年以上メンテナンス不要で使えるのがメリット。温浴施設の浴室やプールなどに採用されるケースもあり、高い防水性能も期待できます。

一方、高度な技術が求められるため対応できる施工会社が少なく、費用が高めなのがデメリット。水を多く使う厨房や、1か所で長く営業する店舗をつくる場合に向いている施工方法と言えるでしょう。

 

居抜き物件でも厨房防水工事は必要?

居抜き物件の劣化した厨房防水

1から厨房をつくるスケルトン物件では防水工事が必須ですが、居抜き物件の飲食店開業でも防水工事が必要になることが多いです。

元々飲食店の居抜き物件ならすでに厨房が防水されていることが多いですが、耐用年数を過ぎていると漏水のリスクが高くなります。また、同じ飲食店でも業種が異なると水を使う量や頻度も変わるため、既存の防水工事や排水設備では対応できないケースも。

居抜き物件で飲食店を開業する場合でも、厨房の状態を確認し、防水工事の必要性を判断しましょう。

仮にそのまま使える状態の厨房であっても、開業後に防水工事をやり直す場合は、営業できない期間が発生するため機会損失につながります。耐用年数が短い、状態が悪い場合は、なるべく開業時に防水工事をやり直すかメンテナンスするのがおすすめです。

 

飲食店の厨房防水工事のポイント

防水工事前の飲食店の厨房の床

実際に飲食店の厨房防水工事を検討するときは、次のポイントを押さえましょう。

 

飲食店の施工実績が豊富な会社に相談する

厨房の漏水リスクを防いで清潔な状態を保つために、まずは飲食店の施工実績が豊富な会社に相談するのが基本です。

一口に飲食店と言っても、業種によって使用する水の量や流し方が変わるため、適切な防水施工方法や仕上げが変わります。また、建物の構造や既存の防水層の状態に合わせた適切な対応も必要です。施工実績が豊富な会社なら、状況に合わせた施工方法のアドバイスが期待できます。

飲食店づくりのノウハウが豊富な会社なら、施工ミスや不具合のリスクを抑えられるのも大きなメリットです。仮に高価で耐用年数が長い材料を使っても、勾配が不足したり凹凸があったりすると、水が溜まってしまい不衛生な環境や劣化・漏水につながります。

同じ防水工事でも、屋上やバルコニーと飲食店では、施工のポイントは異なります。価格だけで施工会社を選ぶのではなく、必ず施工実績をチェックして飲食店に慣れている会社に相談しましょう。

 

保証書を発行してもらう

厨房防水工事の際は、施工後に必ず保証書を発行してもらうことも大切なポイントです。

ほとんどの施工会社は厨房の防水工事に保証期間を設けていますが、保証書が無いと、万が一不具合が発生した際に対応してもらえないリスクもあります。保証の範囲や対象などをしっかり確認し、書面に残しておくことが大切です。

厨房防水工事の保証期間は、施工会社や工法によって変わりますが、10年間前後が一般的です。

 

まとめ

飲食店開業において、厨房の防水工事は不可欠であり、生活な環境を保つためにも重要です。開業後に防水工事をする場合、厨房機器をすべて移動する必要があり、営業できない期間も発生します。トラブルや機会損失を防ぐために、必ず開業時に内装工事と一緒に防水工事を検討しましょう。

 

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監修者情報

(株)秀建 編集部

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