(株)秀建 編集部
【調剤薬局】開業の流れと必要な許可・資格とは
人々の健康な暮らしを守るために、なくてはならない調剤薬局。調剤薬局の開業には様々な許可や申請が必要なのはもちろん、内装工事においても満たすべき基準があるため、内容を把握しながら着実に準備を進めていくことが大切です。
そこで、調剤薬局開業を目指す薬剤師や医師の方、これから新規事業を立ち上げる経営者の方に知っておいていただきたい、調剤薬局開業までの流れと必要な許可や資格についてまとめました。これからの開業計画に、ぜひお役立てください。
コラムのポイント
・調剤薬局開業に向けて提出の必要な書類、開業までの流れをまとめました。
・調剤薬局の開業に向けて、内装の決定や必要書類の提出、手続き、審査などやるべきことはたくさんあります。調剤薬局の設計・施工に関する知識やノウハウの豊富な業者とともに、段取りよく開業を進めていきましょう。
調剤薬局開業に必要な許可と申請
病院や診療所の医師が発行した処方箋を元に、薬剤師が薬を調剤し、患者様に薬をお渡しして使用方法をお伝えする調剤薬局。開業するためには、以下3つの手続きをする必要があります。
① 薬局開設許可申請
調剤薬局の開業に必要な要件を満たした上で、都道府県に申請を行います。
設備要件
・換気が十分で清潔である
・住居及び不潔な場所と明確に区別されている
・薬局業務を適切に行うことができるよう、面積は概ね19.8㎡以上である
・医薬品を常時陳列、調剤する場所は60ルクス、調剤台の上は120ルクス以上である
・冷暗貯蔵のための設備がある
・調剤室は6.6㎡以上である
・液量器や温度計といった調剤に必要な設備や器具を備える場所がある など
https://www.pref.chiba.lg.jp/yakumu/tetsuzuki/330/documents/sinsakijun_20210801.pdf
人的要件
・申請者が、過去に許可を取り消されていない、禁錮以上の刑に処せられていない、薬事法や麻薬及び向精神薬取締法などに違反していない、など
・1日に取引する処方箋の平均数が40までの場合は薬剤師1名、それ以降は処方箋40ごとに1を加えた人数が必要
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta6845&dataType=1&pageNo=1
提出書類
・薬局の平面図
・業務体制概要書
・薬剤師または登録販売者一覧表
・事業内容書
・登記事項証明書
・役員の業務分掌表
・管理者の雇用証明書
・勤務薬剤師・販売従事者の雇用証明書
・薬剤師免許の原本
・販売従事者登録証の原本
・水質検査結果原本
平面図に関しては、調剤室面積や医薬品保管庫、薬局全体の面積を算出して記載する、薬局内の配置や調剤室の設備等を概略で記載する、など記載方法が決まっています。調剤薬局の設計施工に詳しい業者に依頼し、開業を進めていくようにしましょう。
② 保険薬局指定申請
薬剤開設許可と合わせて保険薬局の指定を受けることで、保険を適用した調剤ができるようになります。
薬局の許可証や保険薬剤師の免許証の写し、法人登記簿謄本の写しなどを提出して、地方厚生局長による指定を受けます。
指定日は基本的に毎月1日付なので、調剤薬局開業予定月の1日には指定を受けられるように準備を進めていきましょう。
提出書類
・許可証の写し
・管理薬剤師を除く保険薬剤師の氏名および保険医または保険薬剤師の登録記号、番号、担当診療科名を記載した書類
・上記以外の薬剤師の数を記した書類
・法人登記簿謄本の写し
・土地建物登記簿謄本又は賃貸借契約書の写し
・周辺図
・平面図
・保険薬局の新規指定及び指定更新に係る確認書類
③ 調剤薬局開設に必要なその他申請書類
医師の処方箋がなくても、薬剤師の判断のもと調合販売できる薬局製剤を販売する場合、薬局製剤製造販売業、薬局製剤製造業、薬局製剤製造販売承認の申請が必要です。また、毒物や劇物を販売するためには、毒物劇物販売業の登録が必要です。
調剤薬局開業にあたり申請する書類は多岐にわたるため、希望する日程に開業するためにも、どのような書類が必要なのかを事前に把握した上で申請準備を進めていきましょう。
調剤薬局開業に必要な資格
調剤薬局を開業する場合、どのような資格が必要なのでしょうか。
『薬剤師』の免許は必要?
調剤薬局を開業する以上、薬剤師が必要です。しかし、開業するオーナー自身が有資格者である必要はなく、店舗管理者に薬剤師をおくことで調剤薬局は開業することが出来ます。
かかりつけ薬局として選んでもらうための『基準薬局』の認定を受ける場合
薬のことを安心して任せられるよう、日本薬剤師会が定めた基準薬局。資格手当や時間外手当を支払うため人件費が増えるなどのデメリットがありますが、診療報酬が加算されるため収益増加が見込めます。
全ての処方箋を受け付けるだけでなく、生活保護法や労働者災害補償保険法、障がい者自立支援法、特定疾患治療研究事業といった公費の取り扱いがあるため、公費に関連する手続きも進める必要があります。
例えば、生活保護法に基づく被保護者を受け入れる場合は『生活保護法等指定医療機関申請』、障害をもつ方が、自立した日常生活を営むために必要な薬の調剤を行う場合は『指定自立支援医療機関(更生医療・育成医療)指定申請』などです。
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta7275&dataType=1&pageNo=1
調剤薬局開業までの流れ
調剤薬局を開業する場合、保健所で平面図による事前相談をした上で進めていきます。
①保健所に薬局開設許可申請書を提出
保険申請など事前相談した後、内装工事に着工し、薬局開設許可申請書を提出します。提出する書類には、薬局の平面図のほか事業内容書や薬剤師免許も含まれるため、施工業者に確認しながら準備をしておきましょう。書類は遅くとも、開業予定日の2ヶ月前までには提出する必要があります。
②内装工事完了後に保健所の検査を受ける
現地にて、許可基準を満たしているかどうかを確認する保健所基準調査を受けます。この段階で、内装工事は終了し、調剤に使用する器具なども納品、陳列されている必要があります。
③保険医療機関・保険薬局指定申請書の提出
保健所基準調査を終え、薬局開設の許可を得たら薬局開設許可証の交付を受けます。
④厚生局の審査会を受ける
薬局開設許可証の交付後、厚生局指定の調剤薬局になるための審査会を受けます。この審査会を通過すれば、調剤薬局として開業することが出来ます。
⑤調剤薬局オープン
保険指定を受けなければ『保険調剤』という文言の看板を掲げることが出来ません。全ての申請を通過後、晴れて調剤薬局を名乗ることが出来ます。
調剤薬局を開業する場合、このように様々な手続き以外にも、物件探しや外観、内装の検討などやるべきことがたくさんあります。慣れないことも多く時間もかかるため、余裕を持って開業計画を進めていくことが大切です。
調剤薬局の設計・施工はお任せください
今回のコラムでは、調剤薬局開業を目指す薬剤師や医師の方、これから新規事業を立ち上げる経営者の方に知っておいていただきたい、調剤薬局開業までの流れと必要な許可や資格についてまとめました。
調剤薬局の開業に向けて、内装の決定や必要書類の提出、手続き、審査などやるべきことはたくさんあります。調剤薬局の設計・施工に関する知識やノウハウの豊富な業者とともに、段取りよく開業を進めていきましょう。
株式会社 秀建は、内装工事全般だけでなく、外構から躯体までの建築工事や電気・空調換気・給排水・温浴などの設備工事も熟練プロが対応しています。 また、建築は木造住宅から鉄骨・RC造に至るまで、内装は5坪の飲食店からリゾートホテルまで、自社で一貫した施工が可能となっているため、「建築」と「内装」などの二分された連絡・調整・依頼ロス等がありません。
施工のプロフェッショナルだからこそ、オーナー様やテナント様のニーズに合わせた調剤薬局の設計・施工を進めていくことができます。 調剤薬局の開業を検討されているのであれば、工事内容や費用のご相談など、ぜひ一度お問い合わせください。