(株)秀建 編集部
ホテル業界の課題と対策|インバウンド対応・老朽化・人材不足など
コロナ過からの回復が始まり好調なホテル・宿泊業界ですが、人手不足や変化する需要への対応など課題を抱えているケースも少なくありません。
国内外の観光需要を確実につかみ、安定した経営を継続するためには、課題を一つひとつ解決していくことが大切です。
今回は、ホテル業界でよくある課題をピックアップし、対策とあわせて詳しく解説します。
コラムのポイント
- ホテル業界全体は好調ですが、宿泊ニーズの変化によりさまざまな課題も生まれています。
- 外国人観光客への対応、施設の老朽化、人手不足など、ホテル業界に多い課題をチェックしてみましょう。
- ホテル業界の課題対策として、リノベーションのアイデアをご紹介します。
ホテル業界で多い課題
まずは、ホテル業界で課題となることが多いポイントを取り上げて、こまかくチェックしていきましょう。
外国人観光客への対応
コロナ過から回復しつつある観光・宿泊業界では、外国人観光客によるインバウンド需要が増加していますが、その対応が課題になっているケースが多いようです。
例えば、案内表示やスタッフの多言語対応、キャッシュレス決済やモバイルオーダーへの対応が遅れていると、外国人観光客の満足度が低下し、集客力が低下してしまう可能性があります。
今後もインバウンド需要は増加すると予測されており、外国人観光客に対応できるかどうかは、ホテル業界にとって重要な課題となりつつあります。
こちらのコラムでインバウンド需要について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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地域全体の観光需要の低下
観光・宿泊業界全体は回復基調にありますが、地域差があり、観光需要の低下が課題となっているエリアもあります。
観光庁の調査によると、2023年の全国の宿泊者数は前年比+37.1%、コロナ前の2019年比でも+3.6%と、大きく回復していることが分かります。
しかし、大きく数字を伸ばしているのは東京都や大阪府といった大都市が中心で、まだコロナ前の水準に回復していない地域も見られます。
地域全体の観光需要が低下している原因は、観光資源の不足や、交通手段の確保などさまざまです。
しかし、観光客が泊まりたくなるような魅力的なホテルや旅館が不足していることも、1つの原因として考えられます。
〈参照〉観光庁 宿泊旅行統計調査
施設の老朽化
長く続く老舗のホテルは、建物や設備の老朽化が課題となるケースも少なくありません。
ホテルの老朽化が進むと、ユーザーの評価が下がるなど、集客力が低下する一因となることもあります。
社員旅行などの団体客が減り個人客にシフトしたことで、宴会場などの施設がニーズに合わなくなるケースなども多いです。
レトロな雰囲気で人気を博すホテルもありますが、客室や水回りなどが老朽化している状態では、安定して集客するのは難しいでしょう。
ホテルの建て替えには多くの費用がかかるため、経営における大きな課題となるケースが多いです。後述するリノベーションで、費用を抑えつつ魅力的なホテルをつくるのが効果的な対策です。
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人材不足
多くの業界で課題となっている人手不足も、ホテル業界における大きな課題の1つです。
人手不足の原因は、働き手の減少やホテル数の増加などさまざまですが、離職率の高さも指摘されることが多いです。
厚生労働省の調査によると、「宿泊業、飲食サービス業」の離職率は18.2%で、全産業の平均12.1%よりかなり高くなっています。
離職率が高い原因としては、賃金水準の低さ、拘束時間の長さや不規則な働き方による労働環境などが挙げられています。
人材不足によりスタッフ1人当たりの負担が増加すると離職の原因になり、悪循環につながるケースも。
〈参照〉厚生労働省 令和5年度雇用動向調査結 産業別入職率・離職率
競合の増加
近年増えている民泊をはじめとした、競合の増加もホテル業界にとっての課題となっています。
民泊はリーズナブルな施設から、一棟丸ごとの貸別荘のようなサービスも増えており、宿泊業界において存在感を増しています。
また、家具やキッチンなどがそろっているアパートメントホテルのような業態も、ホテル業界の競合の1つです。
今までにないさまざまな業態の競合が増えたことで、ユーザーが分散し宿泊者数や売上高の減少につながっている可能性も考えられます。
リノベーションでホテル業界の課題に対策
前述したような課題を解決するために、リノベーションを検討・実施するホテルが増えています。
リノベーションとは日本語で「修復・刷新」を意味する言葉で、ホテルをただ改修するだけでなく、新しい価値を追加して魅力的に生まれ変わらせることができます。
リノベーションでどのように課題を解決できるのか、具体的にチェックしていきましょう。
インバウンド需要に対応する
ただ既存のホテルを新しく改修するのではなく、リノベーションによって外国人観光客が利用しやすい施設づくりをするケースが増えています。
前述した案内の多言語対応、和式から洋式トイレへの変更など、インバウンド需要に対応することで、集客力アップが期待できます。
また、ロビーや客室などに和の要素を取り入れたり、アーティストとコラボレーションしたり、外国人観光客にとって魅力的なリノベーションをするホテルも。
外国人の方が利用しやすいこと、魅力的であることの2点を踏まえて、リノベーションすることでインバウンド需要への対応を考えてみましょう。
コンセプトを明確にして競合と差別化する
旅行のトレンドを取り入れ、コンセプトに沿ったリノベーションで競合の宿泊施設と差別化するのも1つの対策です。
例えば、リノベーションで客室にクオリティが高い個人用サウナを追加すれば、サウナファンの注目が集まり集客につながる可能性があります。
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ロードバイクや釣りなどの趣味に特化する、本や映画などの設備でオリジナルの宿泊体験を提供するなど、ホテルリノベーションのアイデアはさまざまです。
地域性に合わせたコンセプトのホテルにリノベーションすれば、ユーザーの注目が集まり、地域全体の活性化も期待できます。
こちらのコラムでホテルリノベーションのアイデアを紹介していますので、あわせてご覧ください。
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生産性の向上&労働環境の改善
リノベーションで従業員が働きやすい環境を整備し、人材不足を解消することも大切な取り組みです。
例えば、リノベーションと同時にオペレーションを見直し、スマートチェックインや清掃ロボットなどの導入で省人化を進めれば、必要なスタッフ数の削減になり、1人当たりの負担軽減につながります。
また、予約システムや顧客情報の一元化など、業務効率の向上も人手不足解消につながります。
リフレッシュルームや仮眠室を設置するなど、福利厚生に力を入れることも、採用率に影響するかもしれません。
お客様のためのリノベーションをすることも大切ですが、従業員目線の取り組みも同時に考えてみましょう。
まとめ
コロナ過からの回復、外国人観光客の増加など、観光・宿泊業界全体は好調ですが、乗り越えるべき課題もあります。
チャンスを確実につかむために、課題を1つずつ明確にして、しっかり対策していきましょう。
私たち秀建は、商業施設づくりのプロフェッショナルとして、多くのホテル改修・リノベーションをお手伝いしてきました。
これまで培ってきたノウハウを活かし、現状の課題を解決するための施設づくりをサポートいたします。
ぜひお気軽にご相談ください。