インバウンド需要で宿泊・観光業界はどう変わる?外国人観光客の動向と今後の対策を解説

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インバウンド需要で宿泊・観光業界はどう変わる?外国人観光客の動向と今後の対策を解説インバウンド需要で宿泊・観光業界はどう変わる?外国人観光客の動向と今後の対策を解説

宿泊・観光業界で目や耳にすることが増えたインバウンド需要。

コロナ過が明けたことで日本全国の観光需要が回復し、外国人観光客の姿を見かけることも増えてきました。

これからの宿泊・観光業界では、インバウンド需要をつかむことが重要と言われています。日本人だけでなく外国人観光客を呼び込むためには、受け入れ態勢やサービスの整備をすることが重要です。

今回は、外国人宿泊者数や国籍などのデータを見ながら、インバウンド需要の動向や、今後取るべき対策について詳しく解説します。

※本記事は2024年7月時点のデータを基に作成しています。最新のデータや動向については官公庁などでご確認ください。

 


コラムのポイント

  • ・外国人観光客はここ10年で3倍近くに大きく伸びており、宿泊・観光業界にとって重要な顧客となっています。
  • ・2024年6月時点の外国人来客数は、韓国・中国・台湾などアジア圏の割合が高い状況です。
  • ・インバウンド需要を確実につかむためには、ターゲットを明確にし、利用しやすい施設やサービスづくりを進める必要があります。

 

宿泊・観光業界におけるインバウンド需要の重要性

まずは、インバウンド需要の基本的な意味や、宿泊・観光業界における重要性についてチェックしておきましょう。

インバウンド需要とは?

スーツケースを持つ外国人観光客

インバウンド需要とは、訪日外国人による購買や宿泊などのニーズのことです。

「inbound」は英語で「外から中に入ってくる(到着する)」という意味の言葉で、観光業界では外国から日本国内を訪れる観光客のことを指すのが一般的です。

反対に外国を訪れる日本人観光客のことを「アウトバウンド(outbound)」と呼ぶこともあります。

インバウンド需要が注目されている背景

少子高齢化が進む日本では、世界各地からの観光客を呼び込み、インバウンド需要を取り込むことが重要だと考えられています。

 

訪日外客数のグラフ

日本政府観光局 訪日外客統計を基に弊社作成

訪日外国人の数は2013年に約1,036万人でしたが、2019年には約3,188万人と約3倍に大きく伸びています。

新型コロナウイルスの影響を受けた2020~2022年は大きく落ち込んだものの、2023年は約2,506万人まで回復し、2024年も引き続き伸びている状況です。

 

訪日外国人旅行消費額と主要品目別輸出額の比較グラフ

経済産業省 通商白書2023を基に弊社作成。

外国人観光客によるインバウンド消費は「サービス輸出」に分類され、2019年の輸出額は4.6兆円にも上ります。インバウンド消費の輸出額は半導体や自動車の部品など主要輸出品目と並んでおり、日本にとって重要な産業となっているのです。

インバウンド需要は国内の様々な産業に影響を及ぼすと考えられていますが、特に波及効果が大きいのは宿泊・飲食業界です。

 

※観光庁のインバウンド施策の例

このような状況を受け、例えば観光庁では上記のようにさまざまなインバウンド施策が実施されています。国を挙げてインバウンド需要を促進しているのは好材料ですが、逆に言えばまだまだ解決すべき課題や伸びしろがある状況とも言えるでしょう。

これからの観光・宿泊業界にとって、外国人観光客の受け入れとインバウンド需要の取り込みは重要な課題の1つとなっています。

インバウンド需要の動向をチェック

実際に日本を訪れた外国人観光客の宿泊者数のデータから、インバウンド需要の動向をチェックしてみましょう。

 

外国人宿泊者数

外国人延べ宿泊者数のグラフ

観光庁 宿泊旅行統計調査を基に弊社作成

外国人観光客の延べ宿泊者数は、2013年頃から大きく伸び始め、コロナ前のピークの2019年には約5倍になっています。コロナ過で入国が制限された2020~2022年は大きく落ち込んでいますが、2023年には大きく回復し、2024年もそのまま伸びている傾向です。

 

日本人と外国人の延べ宿泊者数の比較グラフ

観光庁 宿泊旅行統計調査を基に弊社作成

外国人と日本人の延べ宿泊者数を比較してみましょう。

日本人と比較すると外国人宿泊者数はまだ少ないものの、伸び率にはかなりの差がありますね。日本人の延べ宿泊者数も徐々に伸びてはいるものの、2007年から2023年の伸びは30%程度に留まっています。

 

訪日外客数の国別グラフ

日本政府観光局 訪日外客統計を基に弊社作成

外国人観光客数を国別に見ると、韓国・中国・台湾などアジア地域が多いことが分かります。

アメリカやオーストラリアなど英語圏からの観光需要もありますが、アジア圏の観光客への受け入れ態勢も重要な課題となりそうです。

インバウンド需要を取り込むポイント

人力車に乗る外国人観光客

ここまで見てきたようにインバウンド需要は今後の成長が期待されていますが、既存の観光地や宿泊施設にとってはいくつかの課題も考えられます。

インバウンド需要を確実につかむためのポイントを1つずつ解説します。

ターゲットを明確にする

まずは、どのような外国人観光客をターゲットなのか明確にすることが、インバウンド需要を取り込むためのポイントになります。

前述したように日本を訪れる外国人観光客の国籍は幅広く、旅行の目的もさまざまです。

一口に外国人観光客と言っても、アジア圏と英語圏では日本を訪れる目的や宿泊施設・サービスに求めることは異なります。

また、桜や歴史的な建造物などの見学、アニメの聖地巡礼など、観光地によってもターゲット層は変わってきます。

観光地を実際に訪れている外国人へのアンケート、SNSや動画コンテンツのチェックなど、どのようなニーズがあるのか確認することが大切です。

その土地にどのような観光資源があり、外国人観光客にとって何が魅力なのかを考え、ターゲットを絞り込みましょう。

外国人観光客が利用しやすい施設づくり

インバウンド需要を取り込むためには、飲食店やお土産店、宿泊施設などを外国人観光客が利用しやすい環境につくりかえることも大切です。

 

  • 多言語対応
  • モバイルオーダー
  • キャッシュレス決済
  • フリーWi-Fi
  • 消費税免税制度

 

看板やメニュー、案内表示など、観光時に必要となる情報は多言語対応が必要です。宿泊施設の場合、外国語を話せるスタッフの採用や配置も重要になるでしょう。

また、インバウンド需要の対応ではキャッシュレス決済の導入も欠かせません。アプリによるモバイルオーダーやキャッシュレス決済への対応で、スタッフの負担軽減にもつながります。

外国人観光客が観光地や宿泊施設に対して何を求めているのか把握し、1つずつ課題を解決して利用しやすい施設づくりを進めましょう。

海外に向けて情報発信する

より多くの外国人観光客に訪れてもらうためには、海外向けの情報発信も必要です。

ホームページの整備や多言語対応は必須ですが、それだけでは海外の方の目に留まるとは限りません。SNSや動画コンテンツを活用し、日本に興味がある海外の方に情報を届けることが重要です。

日本ではX(旧ツイッター)やInstagramなどのSNSが主流ですが、国によっては別のサービスが使われているケースもあります。

例えば中国人観光客をターゲットにするなら、WeChat(微信)Weibo(微博)などシェアが大きいSNSを活用した方が多くの方にアプローチできるかもしれません。

また、YouTubeで食事や観光地、宿泊施設の魅力を動画で発信するのも1つの方法です。日本語が分からない外国人の方にも動画なら分かりやすく、英語字幕で詳細を伝えることもできます。

まとめ

これからの観光・宿泊業界にとって、インバウンド需要をつかむことは重要なテーマとなります。

外国人観光客にとって魅力的なサービスや施設をつくり、積極的に情報発信してインバウンド需要を効果的に取り入れていきましょう。

 

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(株)秀建 編集部

(株)秀建 編集部

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