(株)秀建 編集部
保育園の建て替え・改装・改修はどこに相談する?基礎知識も紹介
この記事は保育園経営者の方に向けて、開業や建て替え、改装・改修の相談先や進め方などの基礎知識を解説します。
はじめての保育園開業はもちろん、建て替えや改装などのケースでも、何から手を付けたら良いのか、どこに相談したら良いのか迷う方は少なくありません。
具体的な取り組みを始める前に基本を押さえて、スムーズに計画を進められるようにしましょう。
コラムのポイント
・保育園の開業や建て替えの相談先は複数あり、それぞれ得意分野や設計~見積もりの流れが異なります。
・保育園の開業方法や種類など、基本的な種類などの基礎知識も解説します。
保育園改装・建て替えはどこに相談すればいいの?
はじめて保育園の改装や建て替えを検討する際、最初の相談先選びで迷いや不安を感じる方が少なくありません。
保育園の設計や施工を専門とする会社は日本全国に多数存在します。しかし専門性の高い分野であるため情報が少なく、改装となればホームページやパンフレットを見ても「いくらで保育園がつくれるのか」は分かりません。いったん相談したら断ることができずに、相談料・設計料・キャンセル料などが発生するのではないかと心配を抱く方もいるようです。
このような迷い・不安は、具体的な選択肢や計画の進め方などの情報不足による部分が大きいです。どんな選択肢があり、メリット・デメリットがあるのか把握することが、迷いや不安を解消して具体的な計画を立てるための第一歩となります。
保育園改装・建て替えの相談先
まずは保育園の改装や建て替え・改修を相談できる会社の選択肢を知っておきましょう。
コンサルティング会社
保育園専門の経営コンサルティング会社は国内に複数あり、開業や建て替え・改修なども相談することができます。
はじめて保育園開業を検討しているノウハウのない方でも、プロ目線のアドバイスがもらえるのは心強いポイントです。コンサルティング会社自体は建物の見積もりや施工はしませんが、協力会社が居るので、開業・建て替え・改修をまとめて相談できます。
ただし設計料・施工費用のほかにコンサルティングの相談料がかかるため、金銭面の負担は大きくなります。
設計事務所
建物の設計のみを請け負う設計事務所も、保育園の建築やリニューアルを相談できます。中には保育園・幼稚園に特化した設計事務所もあり、過去の施工事例や経験に基づいたアドバイスが期待できるでしょう。
設計事務所に保育園の設計を相談する場合、まず大まかなラフプランなどを作成し、さらに内容を煮詰める場合は「設計契約」を結びます。その後実際に保育園をつくるための詳細な設計書を作成し、施工見積もりを出す流れになります。
施工会社
実際に保育園の工事を担当する施工会社も、リニューアルを相談できる選択肢の一つです。使用する建材や最新の工法や意外と設備の使い勝手など現場のことを一番知っているので、建物についての工事費用やメンテナンス費用などの詳細なアドバイスが期待できます。また開業前の手続きや保健所の検査など、実務的な部分も一番詳しいはずです。
設計書を基に最終的な見積もりを出すのは施工会社なので、大まかなイメージを伝えて概算費用を聞くのに適した相談先と言えるでしょう。
保育園開業・建て替えの基本的な流れと期間
保育園の開業の基本的な流れを把握しておきましょう。建て替え・改装・改修も基本的な流れは同じです。
補助金の申請
保育園建築は補助金を活用するのが一般的ですから、まずは開業・建て替え予定地の自治体に申請を行います。
補助金は申請時期が決まっているため、この後の工程を考えると少なくとも1年半~2年前には動き出す必要があります。
テナント物件/土地探し
補助金が採択されたら、建築基準法・児童福祉法などの基準をクリアするテナント物件や土地を探します。認可保育園の場合、園児の人数や年齢によって床面積や必要な設備などの基準が細かく定められています。また基準をクリアできるかどうかだけでなく、近隣の治安など保護者の方が安心してお子様を通わせられる環境を選ぶことも重要です。
建て替えや改修の場合も、工事中の仮テナント物件を探さなければいけません。仮物件の場合基準をクリアできるかという視点に加えて、短期賃貸に対応してもらえるかという点も課題になります。ただし敷地に余裕がある場合は、プレハブなどを仮園舎にする方法もあります。
思うような物件が見つからないこともありますので、早めに取り掛かり時間の余裕を設けておきましょう。
設計契約
保育園を開業する土地やテナント物件が決まったら、設計事務所と設計契約を結んで具体的なプランを作成します。設計契約を結ぶと、仮に計画を中止した場合でも費用支払いが発生しますので、慎重に依頼先を検討しましょう。詳しくは最後にお伝えしますが、設計契約の前に大まかな概算見積もりを知りたい場合は、施工会社に相談するのがおすすめです。
入札
具体的な保育園の設計が決まったら、入札によって施工業者を決定します。補助金を活用して保育園を開業する場合は、特命発注(一社を指名すること)ではなく必ず入札となります。
建て替えの場合は、入札方法に要る施工業者決定でなくても大丈夫です。
〈関連コラム〉
特命と入札、どちらが得?民間工事の場合のメリット・デメリットを比較
工事
施工業者決定後は、関係各所への手続きをしながら着工となります。保育園の規模にもよりますが、新築・建て替えの場合は6~8か月前後が工期の目安です。改修・改築は内容によって工期が変動しますので、事前にスケジュールをしっかり打ち合わせしましょう。
保育園開業・建て替え費用はどうすれば分かる?
ここまで保育園開業や建て替えの基礎知識を解説してきましたが、実際に知りたいのは「うちの保育園は工事費用がいくらぐらいかかるの?」という点だと思います。まずどれくらいの費用がかかるのか分からなければ、計画を進めることはできませんよね。
保育園は規模やサービス内容によって必要な設備・工事方法などが異なるため、坪単価などで大まかな費用を計算するのが難しいです。概算金額を見積もる場合でも、現地調査とどのような施設づくり・改装をするのかヒアリングが必要になります。
おまけ:保育園開業の基礎知識
開業方法
平成12年以前は保育園の設置主体は社会福祉法人に限定されていましたが、制限が撤廃されて株式会社・合同会社も開業できるようになりました。
どの開業方法が良いか一概に決めることはできませんが、1から立ち上げる場合は国や自治体のサポートを受けることができる社会福祉法人を選ぶことが多いです。
保育園の種類
開業前に、保育園の基本的な種類やそれぞれの特徴を知っておきましょう。
認可保育園
都道府県の認可を受けて開業する保育園のことで、施設の広さや設備、保育士の人数などの基準を満たす必要があります。また開所時間なども細かく定められているため、経営の自由度は低めです。
しかし自由度が低い反面補助金制度が充実しているため、開業費用を抑えて保育園をつくることができます。
認可外保育園
都道府県の認可を受けず開業する保育園は、補助金を受けられない替わりに経営の自由度が高いのが特徴です。
例えば開所時間の制限がないため、夜間預かりなどニーズに合わせた保育園をつくることができます。基準を満たしていてもあえて認可を受けず、独自の保育サービスを提供しているケースもあります。
企業主導型保育事業
女性の社会進出や男女平等の子育てを目的として、平成28年に内閣府が設置した保育園事業です。認可外保育園と同じように夜間保育などに対応できますが、国からの助成金を受けることができます。「事業所内保育所」と似ていますが、企業主導型保育所は認可外なので、ニーズに合わせて柔軟な保育サービスを提供できるのが特徴です。
こども園
待機児童解消のために平成18年からスタートした制度で、幼稚園と保育園両方の特徴を持っているのが特徴です。
こども園は保育園と同じように0歳から入園でき、幼保連携型・幼稚園型・保育所型・地方裁量型などの分類があります。こども園も都道府県が定める一定の基準を満たせば、補助金を受けることができます。
必要な資格
保育園の開業にあたり、経営に関する特別な資格はありません。現場の保育士については、園児の年齢によって必要な人数が決まっています。
※保育士の人数
- 0歳:こども3人に保育士1人
- 1~2歳:こども6人に保育士1人
- 3歳:こども20人に保育士1人
- 4歳以上:こども30人に保育士1人
※原則として常時2人以上
開業する保育園の規模に合わせて、雇用する保育士の人数を考えなければならないということです。しかし現代は保育士不足が続いており、早めに動かないと必要な人数を確保できない可能性も。詳しくはこちらのコラムもご覧ください。
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私たち秀建は、商業・公共施設専門の施工会社として、これまで多くの保育園づくりに携わってきました。これまで培ってきたノウハウを基に、保育園の現地調査から概算見積もりまでをお手伝いしています。
どんな保育園をつくりたいのかご要望をお伺いし、概算見積もりをご提供する段階まで費用は掛かりません。まずは大まかな金額を知っていただき、それから具体的な計画を進めるかどうか判断していただいて大丈夫です。どんなお悩み・疑問もお気軽にご相談ください。