(株)秀建 編集部
パーソナルジム開業の基礎知識|物件探し・営業許可・内装工事費用相場を解説
コロナ過によって一度は大きく需要が落ち込んだフィットネス・スポーツジム業界ですが、免疫力や基礎体力の大切さが見直され、需要を回復しつつあります。
ユーザー属性やニーズの多様化によってさまざまなビジネスモデルが登場していますが、マンツーマン制のパーソナルジムも注目度が高まっているジャンルの1つ。
そこで今回は、パーソナルジムの開業に必要な基礎知識をまとめて分かりやすく解説します。パーソナルジムに向いている物件探し、営業許可やトレーナーとしての資格、内装工事費用などをチェックしていきましょう。
コラムのポイント
- ・パーソナルジムのターゲットユーザーは幅広く、コンセプトに合わせた施設・サービスをつくることが大切です。
- ・無資格でもパーソナルジムは開業できますが、実績やノウハウを証明する方法があると集客面で有利となります。
- ・パーソナルジムの内装工事では、費用・耐久性・安全性などのバランスを取ることが大切です。
パーソナルジム開業のチャンスは?
昨今の健康ブームでフィットネス・スポーツジム業界全体の需要が活性化し、パーソナルジムの開業チャンスも大きくなっています。
一昔前までは、パーソナルジムと言えばアスリートやボディビルダーなどを中心にハードルが高いイメージがありました。しかし、最近は体力づくりやボディメイクなどの需要も増えており、さまざまなコンセプトのパーソナルジムが登場しています。需要に合わせて業態も都度払い型やサブスク型など多様化し、価格帯もさまざま。
※画像引用元:独立行政法人中小企業基盤整備機構
上記のように、フィットネス・ジムのユーザー層も老若男女問わず広がっています。一昔前までのメインユーザーだった20~30代の男性だけでなく、年齢層が高い方や女性ユーザーの注目も高まっています。多くのユーザーがジム業界に注目している現在、パーソナルジムの開業チャンスは非常に大きいと言えるでしょう。
パーソナルジム開業の物件探し
マンツーマンのパーソナルジムは比較的コンパクトな物件でも開業可能で、マンションの一室でスモールスタートするケースも珍しくありません。コンパクトなパーソナルジムなら1人でも営業できるので、一般的なフィットネス・スポーツジムより開業のハードルは低いでしょう。
しかし、パーソナルジムでも騒音や振動、耐荷重などのハードルは一般的な店舗と同様に高く、開業可能な物件を見つけること自体が難しいです。特に集合住宅であるマンションは開業可能な物件が少なく、器具の種類やトレーニング内容によっては、周囲からのクレームが発生するリスクは高いでしょう。
テナント物件でも、騒音や振動が原因でほかの店舗やオーナーから苦情が入るリスクはあります。また、シャワーのないパーソナルジムを開業する場合、利用者の動線がほかの店舗と交わることで汗やニオイなどのクレームに発展するケースも。
騒音や振動は内装工事で対策できることもありますが、コスト増の原因になります。どのような物件でパーソナルを開業する場合でも、チェックすべきポイントを押さえて選ぶことが大切です。ジムの物件探しについては、こちらのコラムで詳しく解説しています。
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パーソナルジム開業に資格・許可は必要?
パーソナルジムの開業自体には、特別な資格や営業許可は必要ありません。資格がなくてもトレーナーとしてパーソナルレッスンはできるため、資金と物件さえあれば開業は可能です。
ただし、集客力・サービス力の面を考えると、トレーナーとしての資格やノウハウはほしいところです。
※パーソナルジム関連の資格例
- NSCA-CPT
- JATI-ATI
- JHCA-FC
- JSPO-AT
- 公認スポーツ栄養士
- 肥満予防健康管理士
マンツーマンレッスンに関する資格があれば、スポーツやパフォーマンスアップ向けのパーソナルジムの集客に有利に働くでしょう。運動後のリカバリーに関わる栄養学関連の資格も、ユーザーの安心感や集客面のプラスになります。スポーツの入賞履歴、フィジークやボディビル大会での実績なども欲しいところです。
健康な体づくりやダイエット向けのパーソナルジムを開業するなら、肥満予防健康管理士などの資格が有利になるでしょう。
オーナー自身がこのような資格・実績を持っていないなら、該当するトレーナーを探して雇用する方法もあります。ただし、オーナー自身は現場に出ない場合でも、コンセプトやサービスをつくりあげるために最低限の知識は必要となります。
また、パーソナルジムの開業にあたって特別な営業許可は必要ありません。ただし、建物の規模や管轄する自治体によっては、消防署への届出が必要となるケースもあります。また、ジム内にシャワールームを併設すると、公衆浴場法の対象となり保健所への許可申請が必要になることも。特に、前例のないコンセプトのパーソナルジムをつくる場合、法規制の対象となる可能性もあるので事前協議が必要です。
施設や提供するサービス内容によって有利になる資格、必要な許可申請は異なります。物件選びや内装施工費用にも関わってきますので、早い段階で確認しておきましょう。
パーソナルジムの内装工事費用相場は?
パーソナルジムの内装工事は、一坪あたり30万円が目安となります。延床面積20坪のパーソナルジムなら、600万円が内装工事の相場ということですね。
ただしこれはあくまで目安であり、ジムの広さや仕様によって坪単価と費用は変動します。例えば、最小限の器具のコンパクトなパーソナルジムは坪単価が高くなりますし、広いジムなら安くなります。
シャワーや自動ドアの有無など、設備の内容によっても費用は変動します。設備や内装を充実させてこだわりのジムをつくるのか、シンプルなジムでリーズナブルなサービスを提供するのか、コンセプトと費用のバランスを取ることが重要です。
格安の内装工事業者を探してなるべく安い見積もりを取れば、相場より費用を抑えられる可能性はあります。ただし、内装材や防音材のグレードを落として安易にコストダウンするのは危険です。グレードの低い材料はすぐボロボロになってしまうため、メンテナンスサイクルが短くなり余計なコストが発生します。清掃性が悪い材料はニオイの発生原因になり、評判の悪化や客離れにつながるリスクも。また、防音性の低い材料を使うと、足音やダンベルの振動が原因で周囲からのクレーム発生リスクも高くなります。
内装工事をはじめとする開業費用はなるべく安く抑えたいところですが、安易なコストダウンはジムのクオリティや存続に関わります。ただ安い内装施工業者を探すのではなく、ジム施工の実績が多く、コストパフォーマンスが高い店舗づくりのノウハウを持っている会社に相談しましょう。
まとめ
パーソナルジムは開業のハードルが低めで、需要が高まっているため大きなチャンスのある業界です。ただし、大手から個人までパーソナルジムへの参入や開業も増えているため、ただ開業しただけで成功するとは限りません。ターゲットユーザーとコンセプトを定め、オリジナリティのある施設やサービスを構築することが重要です。
そのためには、なるべく早い段階でパーソナルジム向きの物件を見つけ、正確な内装工事費用を把握することが大切です。必要な資金を明確にすることで、精度の高い事業計画策定や融資にも有利に働きます。
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