(株)秀建 編集部
【最新版】ゴルフ市場動向まとめ|2023年のゴルフ業界に求められることとは?
この記事では、さまざまなデータから2023年のゴルフ市場動向をチェックしていきます。
昨年は、人との接触を避けて安全に楽しめるインドアゴルフ練習場の伸びが顕著でした。
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しかし行動の選択肢が徐々に増えてきた2022年以降は、ゴルフコースの利用が回復基調に入ってきました。
コロナ過からの回復で多くの人のライフスタイルが変化している現在、ゴルフ業界も柔軟な対応が求められます。
今回は、さまざまな角度から市場動向を推測しますので、ユーザーニーズに応える施設づくり・経営計画にお役立て下さい。
コラムのポイント
- ゴルフコースは売上高・利用者がアップ、アウトドア・インドア含む練習場はほぼ横ばいの傾向です。
- ゴルフ練習場は減少傾向にありますが、東京都内のインドアゴルフに限り伸びており、開業チャンスがありそうです。
ゴルフ業界全体の市場動向
まずは、ゴルフコース、屋外練習場やインドアゴルフそれぞれの売上高の推移から、市場動向をチェックしてみましょう。
ゴルフ場 売上高はコロナ過以前を超える
売上高 | |
2019年 | 約917億円 |
2020年 | 約798億円 |
2021年 | 約944億円 |
2022年 | 約1,020億円 |
データ引用元:経済産業省特定サービス産業動態統計調査
コロナ過により2020年に大きく落ち込んだゴルフ場の売上高は、2022年も増加し2008年以来の1,000億円台まで回復。コロナ過以前の水準より売上高がアップしているのは、ゴルフ業界にとって明るい傾向と言えそうです。公表されている2023年6月時点の売上高も、2022年と同じ水準で順調に推移しています。
コロナ過ではインドアゴルフを中心に練習場の数と売上高がアップしましたが、そこでゴルフを始めたユーザーがコースデビューしたということも考えられそうです。
ゴルフ練習場 ほぼ横ばい
| 売上高 |
2019年 | 約291億円 |
2020年 | 約309億円 |
2021年 | 約368億円 |
2022年 | 約362億円 |
データ引用元:経済産業省特定サービス産業動態統計調査
屋外練習場・インドアゴルフ練習場の合計売上高は、大きく伸びた2021年と比較するとほぼ横ばいです。2023年6月時点までの売上高も、前年同月比とほぼ同じ水準から微減で推移しています。
コロナ過でゴルフを始めたビギナーユーザーが、行動制限の解除によって多少ゴルフ離れした可能性は考えられるかもしれません。ただし、大きく売上高が落ち込んでいるわけではないため、ある程度定着していると見ることもできます。
ゴルフユーザー数の変動
実際にゴルフコースを回った、または練習場に行ったユーザー数の推移もチェックしてみましょう。
| 令和3年度 | 令和4年度 |
ゴルフ(コースでのラウンド) | 6.2% | 6.4% |
ゴルフ(練習場・シミュレーションゴルフ) | 5.6% | 5.4% |
データ引用元:スポーツ庁「スポーツの実施状況等に関する世論調査」令和3年度・令和4年度
上記は、「この1年間に行った運動・スポーツの種目」という質問に対し、ゴルフ・または練習場と回答した人の割合です。
ゴルフコースをラウンドした人の割合は、売上高と同じように伸びています。一方、ゴルフ練習場・インドアゴルフに行った人の割合は、やはり少し減少気味です。
| ゴルフ場の利用者数 | ゴルフ練習場の利用者数 |
2020年 | 891万2,524人 | 2,128万1,859人 |
2021年 | 1,025万7,560人 | 2,506万8,816人 |
2022年 | 1,053万1,189人 | 2,438万6,218人 |
データ引用元:経済産業省特定サービス産業動態統計調査
利用者数のデータもほぼ同じ動きを見せており、ゴルフ場は増加、ゴルフ練習場は微減となっています。
複数のデータをまとめると、コロナ明けでゴルフコースをラウンドする人は増え、屋外・インドアを含めた練習場のユーザーは若干減ったという傾向は間違いなさそうですね。ただし、ゴルフ練習場のユーザー数はコロナ過の2020年より高い水準をキープしているため、やはりある程度定着したと考えられます。
ゴルフ練習場・インドアゴルフの市場動向
続いて、ゴルフ練習場の数や市場の動向について詳しく見ていきましょう。
都道府県 | アウトドア | インドア | 合計 | |||
| 施設数 | 増減 | 施設数 | 増減 | 施設数 | 増減 |
東京都 | 149 | -8 | 535 | 59 | 684 | 51 |
神奈川県 | 116 | -3 | 127 | 3 | 243 | 0 |
埼玉県 | 129 | -3 | 66 | -2 | 195 | -5 |
千葉県 | 118 | -1 | 69 | 1 | 187 | 0 |
大阪府 | 71 | 0 | 143 | 1 | 214 | 1 |
福岡県 | 87 | 0 | 31 | -1 | 118 | -1 |
沖縄県 | 18 | 0 | 11 | 0 | 29 | 0 |
上記は、2022年10月時点の全国のゴルフ練習場施設数です。活況なゴルフコースと比較すると、ゴルフ練習場全体の数は減少気味です。特にアウトドア練習場は多くの都道府県で閉鎖されており、数を減らしています。
一方、前年まで大きく数を増やしてきたインドアゴルフは、東京都のみ施設数を伸ばし、ほかの地域は横ばい~微減の傾向です。同じ首都圏でも神奈川・埼玉・千葉などは伸びておらず、大阪や福岡などの大都市も同じ状況です。ほかの地域も含め、インドアゴルフ施設が3軒以上増えている都道府県はありませんでした。
実際、東京都内ではインドアゴルフの新規オープンが相次ぎ、活況な状況が続いているようです。初心者向けのレッスンを主軸とする施設、中上級者が自由に練習できる施設など、ターゲット層とビジネスモデルも多様化しています。
参照元:Yahoo!ニュース 急増するインドアゴルフ場 注目される「ラウンジレンジ」の事業モデル
また、都市部のインドアゴルフで課題となることが多い、騒音対策・安全性の確保などを解決する技術も開発されています。出店する物件の選定ハードルが下がれば、さらに都市部でインドアゴルフを開業するチャンスも広がりそうです。
参照元:PRTIMES インドアゴルフの施工課題「騒音」「跳ね返り」を克服する新技術を共同開発。狭小物件でも出店を可能。
2023年のゴルフ業界に求められることは?
ここまでのデータをまとめると、2023年現在はゴルフコースにユーザーが戻りつつあり、練習場の需要もほぼ横ばいで推移しているようです。コースをラウンドするユーザーが増加することで練習場の需要も期待できるため、インドアゴルフ開業のチャンスもまだまだあると言えそうです。
ただし、コロナ明けにより行動制限がなくなったことで、旅行や他のスポーツなどの選択肢も増えており、今後も同じような状況が続くとは限りません。また東京都内では引き続きインドアゴルフの新規参入が相次いでいるため、ただ開業するだけでは安定した収益は望めないでしょう。
インドアゴルフは機械の購入費用・リース代金の回収が終わる5~8年以降まで経営を続けないと、大きな収益は期待できません。ブームの盛衰や競合に左右されず安定した経営を続けるためには、競合と差別化した魅力的な施設・サービスづくりが求められます。
打席・ラウンジなどのクオリティも重要ですが、レッスンのクオリティ、コミュニティづくりなどのサービス面でも競合との差別化は必要です。飲食・物販・シャワールームやサウナなど、ゴルフ以外との組み合わせも検討すべきでしょう。しっかりゴルフ業界の最新動向をチェックしながら、ユーザーにとって魅力的な施設・サービスを構築してください。
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